2022 Fiscal Year Annual Research Report
Synergistic Advances of Living Polymerizations via Reversible Interconversion
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22H00333
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上垣外 正己 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00273475)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リビング重合 / ラジカル重合 / カチオン重合 / 不斉重合 / ブロックポリマー / メタクリル酸エステル / ビニルエーテル / ベンゾフラン |
Outline of Annual Research Achievements |
リビング重合は、高機能材料を開発する上で有用な高分子合成技術であり、今なお、高度な制御、幅広い適応性、新しい共重合体の創成などの発展が望まれている。本研究では、生長種の異なる多様な連鎖重合において、共有結合のドーマント種との可逆的な交換反応を共通点とし、リビング重合を相乗的に発展させ、その学理を構築することを目的としている。 メタクリル酸エステルのラジカル重合において、α-メチルスチレン型のエキソオレフィン化合物を連鎖移動剤として添加すると、炭素―炭素二重結合への生長ラジカル種の付加に続くβ-開裂により、硫黄を含まない可逆的付加開裂型のリビングラジカル重合が可能となることを見出した。さらに、置換基の異なる種々のメタクリル酸エステルを順次滴下することにより、マルチブロックポリマーの合成が可能であった。 また、ベンゾフランのカチオン重合において、炭素―硫黄結合を有するチオエーテルを連鎖移動剤として添加すると、硫黄原子への生長炭素カチオンの攻撃を介した可逆的連鎖移動機構により、リビングカチオン重合が可能なことを見出した。ここに、光学活性なβ-アミノ酸誘導体を添加すると光学活性なポリマーが得られ、分子量と立体構造が制御された不斉リビングカチオン重合が進行し、ステレオブロックポリマーの合成も可能であった。 さらに、7員環の環状チオアセタールをビニルエーテルと共存させてカチオン共重合を行うと、ポリマーの主鎖にチオアセタール結合が組み込まれ、この結合にビニルエーテルが可逆的連鎖移動機構でリビング的に重合していくことで、全体の分子量とチオアセタール結合間のビニルエーテルセグメントの分子量が制御されたマルチブロックポリマーの合成が可能なことを見出した。このポリマーは、主鎖のチオアセタール結合を切断することで、長さの揃った低分子量のポリマーを与える分解性ポリマーとなることも明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炭素―炭素二重結合をドーマント種としたメタクリル酸エステルのラジカル重合においては、α-メチルスチレン型のエキソオレフィン化合物を連鎖移動剤とすることでラジカルRAFT重合が可能となることを見出した。本成果は、Angew. Chem. Int. Ed.誌に掲載され、表紙に採用されるなど硫黄フリーのRAFT重合として注目を集めた。 また、炭素―硫黄結合としてチオエーテルやチオアセタール結合をドーマント種とすることで、ベンゾフランの不斉リビングカチオン重合やビニルエーテルと環状チオアセタールのリビングカチオン共重合が可能となった。これにより、分子量の制御された光学活性ポリベンゾフランの合成と、分解前後で分子量が共に制御されたポリビニルエーテルの合成が可能となった。これらの論文はそれぞれ、J. Am. Chem. Soc.誌とAngew. Chem. Int. Ed.誌に掲載され、プレスリリースを行ったところ新聞、インターネットメディアにおいても紹介され、高い評価を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、生長種の異なる多様な連鎖重合において、共有結合のドーマント種との可逆的な交換反応を共通点とし、リビング重合を相乗的に発展させ、その学理構築を目的として研究を推進する。例えば、炭素―炭素二重結合をドーマント種とした重合においては、α-メチルスチレンやイソブチレンなどのカチオン重合性モノマーに関して、硫黄フリーのカチオンRAFT重合系を開発し、ラジカル重合性モノマーとのブロックポリマーの合成へと発展させる。また、酸素―ケイ素結合をドーマント種とするグループトランスファー重合においては、種々の光レドックス触媒を用いることでラジカル機構に基づくグループトランスファー重合を開発し、アニオン機構の重合との併用により新しいブロックポリマーなどの合成を検討する。また、新たなドーマント種として、炭素―水素結合を用いて、塩基による可逆的な脱プロトン化によるリビングアニオン重合の開発を行う。これらの研究に関しては、現在進行中であり、引き続き取り組むことで、リビング重合を相乗的に発展させる。
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Research Products
(29 results)