2022 Fiscal Year Annual Research Report
Paradigm shift in polyphenol function: Formation of oxidation-specific ligands and biological defense response
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22H00356
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内田 浩二 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40203533)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ポリフェノール / タンパク質修飾 / 酸化特異的リガンド / 自然免疫 / 受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.酸化特異的リガンド受容体の探索:ファージディスプレイ法により作成したランダムペプチドライブラリーから同定された2種類の酸化特異的リガンド親和性ペプチドについて、ペプチドの化学的な特徴を明らかにした。 2.ポリフェノール修飾タンパク質のリガンド機能:これまでにカテキン (EGCG)を起源とするリガンド受容体として細胞膜に局在するヒストンを同定している。ヒストンとの相互作用が判明しているEGCG修飾タンパク質について、システイン、リジンの各誘導体を用いた検討を行い、アミノ酸側鎖上にカテキンアセンブリーの形成が認められ、そのアセンブリーがヒストンに対して親和性を示すことを明らかにした。 3.酸化特異的リガンドを感知する自然免疫機構の解析:ヒストンはNETs (neutrophil extracellular traps)に含まれる成分として、好中球などから分泌され、疾患の発症に関与することが報告されている。本研究では、ポリフェノール修飾タンパク質のヒストン凝集活性を検討し、EGCGなどのポリフェノールに強いヒストン凝集活性を見出し、その凝集機構について、カチオン-π結合を介した相互作用を明らかにした。 4.ポリフェノール修飾タンパク質を認識するモノクローナル自然抗体の解析:EGCG修飾タンパク質を認識するモノクローナル抗体として獲得した6種類のモノクローナルIgM(CH1~6)について特異性を解析したところ、抗体との結合が見られたポリフェノールについては、ピロガロール構造を持つという共通性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ファージディスプレイ法の導入に成功し、ランダムペプチドライブラリーから2種類の酸化特異的リガンド親和性ペプチドを同定し、さらにペプチドの化学的な特徴を明らかにした。ヒストンとの相互作用が判明しているEGCG修飾タンパク質について、システイン、リジンの各誘導体を用いた検討を行い、アミノ酸側鎖上にカテキンアセンブリーの形成を始めて明らかにし、そのアセンブリーがヒストンに対して親和性を示すことを明らかにした。さらに、EGCG修飾タンパク質を認識するモノクローナルIgM抗体について特異性を解明するといった進展が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.酸化特異的リガンド受容体の探索:ファージディスプレイ法により得られた2種類の酸化特異的リガンド親和性ペプチドに関し、その配列情報から修飾リガンドを認識する候補受容体をデータベースから見出す。 2.ポリフェノール修飾タンパク質のリガンド機能:前年度に引き続き、ポリフェノール修飾タンパク質のヒストンとの相互作用に基づく機能性について検討を行う。ヒストンは通常核内にて遺伝子の発現調節を担うことが知られていることから、ヒストンテール領域と相互作用するポリフェノール修飾タンパク質はヒストン誘発性の細胞傷害を緩和すると予想された。そこで、ポリフェノール修飾タンパク質のヒストンによる細胞傷害性への影響を詳細に検討する。 3.ポリフェノール修飾タンパク質を認識するモノクローナル自然抗体の解析:EGCG修飾タンパク質を認識するモノクローナルIgM抗体のうち、EGCG修飾タンパク質だけでなACR-BSAとも交差性を示したCH5に関して、抗体産生B-1a細胞の解析を行うとともに、自然免疫活性化機構の確立を目指す。
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