2022 Fiscal Year Annual Research Report
Isolation of a safe and eco-friendly cultivar in Lentinula edodes by developing new genome editing technologies
Project/Area Number |
22H00380
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本田 与一 京都大学, 農学研究科, 教授 (70252517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中沢 威人 京都大学, 農学研究科, 助教 (80608141)
河内 護之 京都大学, 農学研究科, 特定准教授 (70771294)
入江 俊一 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (30336721)
上辻 久敏 岐阜県森林研究所, 森林資源部, 研究員 (90455527)
佐藤 利次 北見工業大学, 工学部, 教授 (00390881)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | きのこ / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
農業が環境に与える負荷のうち、遺伝学的な負荷については、これまで十分に研究されて来なかった。本研究では、食用担子菌シイタケをモデルとし、遺伝子組換えに当たらない新しい安全性の高いゲノム編集技術を開発して、環境に優しい新しい品種の開発を目指している。具体的には、持続可能で環境に優しい農業の確立を目指し、外来DNAの残留のないゲノム編集技術の確立を目指すと共に、胞子を作らないシイタケを分子育種して、遺伝子汚染問題の解決策の実用化を目指す。 本年度は、まずシイタケの栽培現場における胞子が引き起こす問題点や環境への負荷について現場の情報を収集するとともに、本研究の基盤技術となるシイタケへのゲノム編集の導入について検討し、良好な結果を得た。より詳細には、CRISPR/Cas9によるゲノム編集をシイタケに導入するため、液体培養したシイタケ菌糸体を細胞壁溶解酵素で処理し、原形質膜に覆われた細胞(プロトプラスト)を作成した。ポリエチレングリコールと塩化カルシウムの存在化で、Cas9タンパク質とガイドRNAをコードする組換えプラスミドおよび標的部位の上流下流領域に挟まれたマーカー遺伝子を持つドナー配列を同時に、形質転換導入した。マーカー遺伝子の働きにより選抜された組換え体について、PCRで染色体上の遺伝子挿入位置の確認を行い、遺伝子ターゲティングが起きていることを確認した。この結果はシイタケにおける世界で初めての遺伝子ターゲティング系が開発されたことを意味するものである。また、より実験に使い易いヒラタケをモデルとして、より安全性の高いゲノム編集技術の開発や胞子形成関連遺伝子の同定も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
食用担子菌類の中でも、シイタケは生産量が多く市場価値も高い。一方で、遺伝学的な解析を行う際には、他のモデルとなる種とは異なり、菌糸成長の遅さや、プロトプラスト化の難しさ、遺伝子導入効率の低さなど実用菌ならではの困難が多い。そのような状況の中で、今回世界で初めてゲノム編集とそれに続く相同組換えに成功したことは、今後の研究の基盤として意義が大きいと考えられるため。また併せて、ヒラタケをモデルとした安全性の高いゲノム編集技術の開発も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度達成したシイタケ菌株におけるCRISPR/Cas9によるゲノム編集系を、シイタケの他の菌株にも導入することを試みる。また、他の担子菌で明らかになってきた胞子形成に重要な働きをする遺伝子のホモログをシイタケでクローン化し、遺伝子破壊することを試みる予定である。
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