2022 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物の小胞体関連分解における小胞体内イベントの全容解明
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22H00407
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 和俊 京都大学, 理学研究科, 教授 (70182194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蜷川 暁 神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 助教 (80647991)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オルガネラ |
Outline of Annual Research Achievements |
[課題3] a1,6結合マンノース露出のM7Aを認識するレクチンであるOS9とXTP3Bの使い分けについて、研究が大きく進展した。 過去の報告では、基本的にはOS9とXTP3Bは共に糖タンパク質の分解を促進するとされている。ただし、糖タンパク質の種類によってはXTP3Bが分解を阻害するとも報告されており、分解促進や抑制の分子メカニズムは未だ明らかにされていない。また、我々は過去に、顕著な異常構造を示す糖タンパク質は糖鎖非依存的経路によっても分解されることを報告している。 本年度、OS9遺伝子破壊細胞株、XTP3B遺伝子破壊細胞株、およびOS9/XTP3B二重遺伝子破壊細胞株を用いて、種々の分解基質の分解速度を測定した。 その結果、構造異常の度合いが小さい分解基質 (mCD3d-△TM-HA, myc-hATF6a full length, myc-hATF6a-△586-638) の分解はOS9とXTP3Bが共に促進している一方で、顕著な構造異常を示す分解基質においては、OS9のみが必要である分解基質 (NHK, myc-hATF6a-△648-666, myc-hATF6a-△478-487&△549-562) と、XTP3Bが新規合成直後での分解に必要である分解基質 (mCD3d-△TM-HA<33-7aa-34>, mCD3d-△TM-HA<70-7aa-71>に分類されることを明らかにした。よって、糖タンパク質の分解におけるOS9とXTP3Bの必要性の差異は分解基質の構造異常の度合いに依存するとの我々の仮説が支持された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
[課題2] 構造異常タンパク質にグルコースを再付加するUGGT1/2がERADに及ぼす影響 [課題4] シビアな構造異常タンパク質を糖鎖非依存分解経路に回すProtein Xの解析 においても順調に成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
[課題2] 構造異常タンパク質にグルコースを再付加するUGGT1/2がERADに及ぼす影響 UGGT1/UGGT2を欠損する細胞株では、いくつかの分解基質の分解が促進されるという、極めて興味深い結果を得ている。すなわち、UGGT1/UGGT2によるグルコースの再付加は、糖タンパク質の運命決定において極めて重要な意味を持つ(過去の報告では、UGGT/UGGT2によるグルコースの再付加を薬剤で阻害しており、このような知見が得られていなかった)。論文としてまとめ、投稿する。
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