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2023 Fiscal Year Annual Research Report

蛍光/化学発光タンパク質による波長変換/自発光で誘起する光合成の理解と技術応用

Research Project

Project/Area Number 22H00409
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

永井 健治  大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (20311350)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2026-03-31
Keywords発光タンパク質 / 蛍光タンパク質 / 波長変換 / 自発光 / バイオマス
Outline of Annual Research Achievements

陸上植物の葉は緑色であり、地球上のどの植生帯においても葉はほとんど同じ光の吸収・散乱特性を示す。これは主として光合成の光化学系におけるアンテナ色素複合体を 構成しているクロロフィルaとbが主として青色と赤色の光を吸収するからである。緑色光が光合成に利用される効率は低く、その結果、緑色光で栽培すると青色や赤色の光で栽培する場合に比べバイオマスが小さくなることが知られている。本研究では、ここから生まれる2つの問い、すなわち(1)効率よく利用されない緑色光を、蛍光タンパク質を使って、利用されやすい色の光に変換したら、バイオマスを増大させることは可能か、(2)植物の光合成は太陽光やLEDなどの外部からの光照射が前提であるが、化学発光タンパク質を使って、植物の細胞内や葉緑体内で光を発生させた場合、それはどれくらい効率よく光合成に利用されうるか、という問いにアプローチした。

緑色光によって励起される赤色蛍光タンパク質tdTomato(吸収極大554 nmでのモル吸光係数138,000、蛍光極大580 nm)をゼニゴケに導入し、緑色光照射によって生じる赤色蛍光がクロロフィルに吸収され光合成を誘起して成長を促進するかどうかを調べた。その結果、1回目の実験において、10 uE m-2 s-1という野生型ではほとんど生育できない微弱光条件においてもtdTomatoを発現するゼニゴケは成長し、バイオマスが野生型に比べ5倍程度増大した。しかし、再現性をとることを目的に別のインキュベーターを使って同様の実験を繰り返したところ、野生型とtdTomato発現体の間に成長の有意差は見られず再現性が得られなかった。インキュベーターによって、装置の設定上は同じでも実際の光・温度条件が異なると考えられることから、その実験環境条件の差が成長度合いに影響したと推測している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初の研究計画のうち、植物細胞の細胞質に赤色蛍光タンパク質(tdTomato)を発現させて入射光と異なる波長の光に細胞内で変換した時のバイオマスの変化の解析は繰り返し行ってきた。しかしその一方で、その時の光合成活性や自発光させた場合のバイオマスおよび光合成活性の解析には着手できていない。したがって、総合的にみて「やや遅れている」と判断した。

Strategy for Future Research Activity

赤色蛍光タンパク質の発現により緑色光の波長転換・光合成での利用が可能かは本研究の中心的かつ重要な問いであるため、この点に関してさらに慎重に検証を行う。これまでの実験で得られた感触から、インキュベーターの違いにより温度の制御レベルが異なる可能性が浮上したため、栽培中の光と温度の状態をデータロガーで解析し、光補償点および温度の要因等を考慮しながら野生型ゼニゴケと赤色蛍光タンパク質(tdTomato)を発現するゼニゴケのバイオマスに差が出る条件を探索する。さらに、他の蛍光タンパク質や植物体での条件検討を試み、本課題の問いに対して多角的な検証を試みる。

URL: 

Published: 2024-12-25  

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