2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of molecular mechanism of heterochromatin formation and maintenance
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22H00413
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
眞貝 洋一 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (20211972)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヘテロクロマチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的を達成するために、以下のサブ課題1~3の設定し、研究を進めてきた。 1.構成的ヘテロクロマチン(cHC)の確立と維持機構の包括的理解 2.ユウクロマチン/ヘテロクロマチンと核内3D配置との関係 3.エピゲノムによる転写抑制機構の包括的理解 これまでに、1に関しては、cHCのエピゲノム修飾であるH3K9メチル化が如何にcHCの維持に重要かを調べる目的で、5つあるH3K9メチル化酵素をすべて欠失させた不死化マウス胎児線維芽細胞iMEFを樹立してcHCの状態を解析した。その結果、H3K9メチル化が完全に消失している細胞では、もう一つのヘテロクロマチン(条件的ヘテロクロマチンfHC)のエピゲノム修飾であるH3K27me3がH3K9メチル化の機能を代替すること、H3K9メチル化とH3K27me3の両方を消失させると、明確にcHCが減弱すること、一方で2つのヘテロクロマチンエピゲノムを消失させても、いまだヘテロクロマチン状態は維持されることを明らかにした(Fukuda et al., NAR 2023)。サブ課題2に関しても、H3K9メチル化を消失させると有意にCTCFのクロマチン結合サイトが増加すること、その結果、クロマチン間の相互作用が変化することを見出した。その結果、H3K9のメチル化は、間接的には転写を正にも負にも調節できることが示唆された。最後のサブ課題3に関しては、H3K9メチル化制御系を持たない出芽酵母に哺乳類のH3K9メチル化酵素を導入してH3K9メチル化を誘導し、さらにその読み取り因子HP1を発現させると、ヘテロクロマチンが誘導できるか検討したが、この2つの因子(H3K9メチル化とHP1)だけではヘテロクロマチン誘導は観察できないことが分かった(現在、論文化を進めている)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
6に記載した通りである。よって、進捗状況は、(2)おおむね順調に進展している、と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
サブ課題1に関しては、現在、H3K9メチル化とH3K27me3以外のどのような因子がcHCの維持に寄与しているのかを解明する研究を多角的に進めている。少なくとも、polycomb複合体、PRC1が導入するもう一つのfHCのエピゲノム修飾であるH2AK119Ubがこの制御に関わっていることを見出しているので、それに関しては最終年度中に論文化を目指す。サブ課題2に関しては、CTCFに関する制御をさらに深堀すること、ヘテロクロマチンは核膜周辺に形成されることから核膜の機能との相関があることも言われており、それに関する解析も最終年度では進める予定である。サブ課題3に関しては、H3K9メチル化とHP1に加えて、HP1の下流で機能することが予想されるクロマチン因子やH3K27メチル化あるいはH2AK119Ub(これらも出芽酵母には存在しない)制御に寄与する哺乳類の因子を導入して、出芽酵母でヘテロクロマチン化が誘導できるか、検討してゆきたい。
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Research Products
(6 results)