2022 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive understanding of avoidance behavior caused by environmental sensing
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22H00416
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯野 雄一 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (40192471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊島 有 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (10632341)
國友 博文 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (20302812)
富岡 征大 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (40466800)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 線虫 / ストレス応答MAPキナーゼ / JNK / p38 / 塩走性学習 / 摂食と飢餓による連合学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では微小なモデル生物線虫C. elegansを用い、神経回路が環境の悪化、特に飢餓状況やストレスによりいかに感覚情報処理を最適化させ行動を変化させるかの分子・神経機構を明らかにすることを目的としている。2022年度は、【項目A】ストレスを感知する機構 として、ストレス応答性MAPキナーゼ経路の役割について検討を行った。評価系として、高い塩濃度で餌を経験した線虫は高い塩濃度へ、低い塩濃度で餌を経験した線虫は低い塩濃度へ誘引され、逆に飢餓を経験すると、経験した塩濃度を避けるようになる学習を用いた。線虫のストレス感受性MAPKにはいくつかの経路があるが、JNK経路のMAPKKK, MAPKKであるMLK-1, MEK-1の欠損変異体がいずれも飢餓後の忌避行動が起こらず経験した塩濃度に誘引されるという顕著な表現型を示した。つまりこの経路が飢餓情報を伝える可能性がある。一方、p38経路に属すると言われていたMAPKKK, MAPKKであるNSY-1, SEK-1の欠損変異体は、飢餓、摂食いずれについても高塩への走性に強い欠損を示した。さらに、この上流と言われているTIR-1, UNC-43の変異体も同様の行動欠損を示した。しかしながら、線虫の3つのp38であるPMK-1, 2, 3の変異体についてはいずれも行動は正常であった。線虫の3つのJNKのうち、JNK-1とKGB-2は正常であった。しかし、KGB-1の変異体は、MLK-1とSEK-1の二重変異体とほぼ同じ強い欠損を示した。すなわち、二種のMAPKKK-MAPKK経路のシグナルがJNK MAPKであるKGB-1で合流していることがわかった。細胞特異的レスキューにより、SEK-1は塩を感じる感覚神経ASER、侵害刺激を感じる感覚神経ASH、およびADF感覚神経で働くことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
【項目A】ストレスを感知する機構 について、腸からのシグナルを解明するために変異体大腸菌ライブラリを用いたスクリーニングを行ったが、摂食した線虫に顕著な異常をもたらす大腸菌変異株は見つからなかった。一方、【項目B】飢餓情報によりシナプス伝達が変化する機構 について、摂食時に経験した塩濃度を好むようになる機構については、塩を感受するASER神経からのグルタミン酸放出が制御されることにより行動可塑性が達成されることはかなり正確に機構を解明し、Nature Communications誌に報告している。一方、飢餓学習(嫌悪学習)においてはペプチドが働くと予想されているため、神経ペプチドのスクリーニングを行い、行動異常を生じたペプチドの解析を行っているが、この研究は時間がかかっており、いまだ継続中である。【項目C】飢餓情報の感知と行動制御の統合的理解 については、全脳イメージング(4Dイメージング)で飢餓による神経活動の変化を特定することを試みているが、全神経の活動をみると、個体差が非常に大きいことが見出されており、環境条件による違いを特定することについては困難に直面している。こういった事情で少し研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
飢餓シグナルの伝達に関わる神経ペプチドの候補を見出しているので、その機能解析のため、複数のペプチドの変異体を組み合わせた実験と、細胞特異的発現実験を行い、制御機構を明らかにする。また、ユビキチン経路が飢餓時の行動変化に関与することを見出している(Ike et al. 2022)。HECT型ユビキチンリガーゼの変異体のサプレッサー変異の取得に成功しているので、この解析を通じてユビキチン系が神経機能へどう働くかを特定する。また、侵害受容神経の受容能を変化させる処理を見出しており、この解析を通じて侵害刺激の感覚受容機構についての知見を深めることを目指す。 全脳イメージングについては、飢餓条件よりも加齢による変化を見る方がいい可能性があり、加齢による全脳神経活動の変化を調べる実験も進める。
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[Journal Article] Molecular encoding and synaptic decoding of context during salt chemotaxis in C. elegans2022
Author(s)
Hiroki, S., Yoshitane, H., Mitsui, H., Sato, H., Umatani, C., Kanda, S., Fukada, Y., and Iino, Y.
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 13
Pages: 2928
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Insulin/IGF signaling regulates presynaptic glutamate release in aversive olfactory learning2022
Author(s)
Cheng, D., Lee, J.S., Brown, M., Ebert, M.S., McGrath, P.T., Tomioka, M., Iino, Y., and Bargmann, C.I.
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 41
Pages: 111685
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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