2022 Fiscal Year Annual Research Report
新規3Dゲノム構造同定法に基づいたニューロン分化・可塑性制御機構の解明
Project/Area Number |
22H00431
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 由季子 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (70252525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 祥人 筑波大学, システム情報系, 准教授 (40512017)
山本 美紀 (日野美紀) 立教大学, 理学部, 特定課題研究員 (40301783)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | クロマチン / 3次元構造 / ニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、クロマチンの3次元構造が遺伝子の発現制御において重要な要素であることが明らかになってきた。ヘテロクロマチンやユークロマチンといった古典的な染色体の凝集状態や、エンハンサーとプロモーターの近接状態(ループ構造)に加えて、種々の核内ボディ(相分離した空間的な集合体)の遺伝子発現制御における役割が注目されてきている。しかし、それぞれの核内ボディにいかなるゲノム領域や制御タンパク質が局在し、いかなるコンテクストで核内ボディの制御が行われているのかについては、未だ不明な点が多い。
本年度までの研究において、神経幹細胞の未分化性を保ちつつニューロン分化能を付与する因子を同定し、この因子が核内ボディを作ることを見出した。そしてこの因子がいかにして神経幹細胞の未分化性を維持するのか、ニューロン分化能を付与できるのか、について検討するためにクロマチン免疫沈降によるこの因子の結合ゲノム領域を探索した。またこの因子によって発現制御される遺伝子を調べるために遺伝子破壊と過剰発現を行なった際の変動遺伝子を調べた。その結果、この因子が遺伝子内に結合する遺伝子の多くがこの因子によって発現抑制されていることが示唆された。以上の結果は、核内ボディの一つについてその構成因子と遺伝子制御における役割、さらには神経幹細胞制御における役割を明らかにしたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度までの研究において、神経幹細胞の未分化性を保ちつつニューロン分化能を付与する因子を同定し、この因子が核内ボディを作ることを見出した。そしてこの因子がいかにして神経幹細胞の未分化性を維持するのか、ニューロン分化能を付与できるのか、について検討するためにクロマチン免疫沈降によるこの因子の結合ゲノム領域を探索した。またこの因子によって発現制御される遺伝子を調べるために遺伝子破壊と過剰発現を行なった際の変動遺伝子を調べた。その結果、この因子が遺伝子内に結合する遺伝子の多くがこの因子によって発現抑制されていることが示唆された。以上の結果は、核内ボディの一つについてその構成因子と遺伝子制御における役割、さらには神経幹細胞制御における役割を明らかにしたものである。この研究は、世界で初めて新しい核内ボディを明らかにした点において新規性、先進性が高い。構成因子だけでなく、遺伝子発現制御および幹細胞制御という生物学的な意義にまで迫る結果を得た。
また、ポリコームボディについての3次元構造の検討を進めるために、神経幹細胞等のバルクChIP-seqを行い、ポリコーム複合体によるヒストン修飾(H3K27me3, H2AK119ub)やポリコーム複合体構成因子のゲノム上の分布情報を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の新規に明らかにした核内ボディおよびポリコームボディに局在するゲノム領域を明らかにするために、質の高いゲノム接触データを神経幹細胞等から得るべく条件検討を行う。single cell Hi-Cの最適化を行いつつある。いくつかのキメラマウスを用い、最もpaternal, maternal alleleを分別してコンタクト情報を得やすい組み合わせを検討する。そしてこの情報を用いて、新規手法による3次元ゲノム構造構築を行う。
さらに再構築された3次元ゲノム座標の妥当性をFISHなどで検証する。immunoFISHの条件検討も進める。
3次元ゲノム構造構築が得られたら、既に取得しているポリコーム複合体によるヒストン修飾(H3K27me3, H2AK119ub)バルクChIP-seq情報を重ねる。また新規の核内ボディ因子のバルクChIP-seq情報を重ねる。これによってポリコームボディ、新規の核内ボディに局在するゲノム部位の情報を得る。
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[Presentation] The stem cell factor Hmga2 mediates chromatin compaction and regulates neuronal cell fate2022
Author(s)
Naohiro Kuwayama,Tomoya Kujirai,Yusuke Kishi,Rina Hirano,Kenta, Echigoya,Yutaka Suzuki,Mitsuyoshi Nakao,Naoki Tani,Kei-ichiro\, Ishiguro,Hitoshi Kurumizaka,Yukiko Gotoh
Organizer
Cold Spring Harbor meeting Epigenetics & Chromatin
Int'l Joint Research
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