2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of nuclear lipid droplet functions
Project/Area Number |
22H00446
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
藤本 豊士 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任教授 (50115929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大崎 雄樹 札幌医科大学, 医学部, 教授 (00378027)
辻 琢磨 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任助教 (40725628)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脂肪滴 / PML小体 / 脂質エステル合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
A. 核内脂肪滴形成機序の解明 a) 合成過程:Crispr/Cas9法でトリグリセリド (TG) 合成酵素DGAT1, DGAT2、コレステロールエステル (CE) 合成酵素ACAT1, ACAT2を単独あるいは複数欠損する細胞を作製して調べた結果、TG合成酵素のいずれかがないと核内脂肪滴は形成されないことが分かった。TG合成酵素欠損細胞に内核膜にアクセスできない変異を持つDGAT1, DGAT2を導入した場合でも核内脂肪滴は形成され、内核膜でのTG合成は必須でないことが明らかになった。b) 分解過程:同様にTG分解に関わるATGL, HSLを欠損する細胞を作製して調べたところ、ATGLが核内脂肪滴に有意の影響を与えたのに対し、HSLは影響しないことが分かった。さらにATGLと結合してTG分解を促進するABHD5、ATGL阻害タンパク質G0S2, HILPDAについて、RNAi法によるノックダウン過剰発現を行い、ATGL欠損細胞の結果と整合する結果を得た。 B. PML小体の解析 a) 構成成分の網羅的解析:核内脂肪滴は核内構造体の1つであるPML小体と共局在する。核内脂肪滴形成がPML小体の構成成分に及ぼす影響を解析するため、PML小体または核内脂肪滴にターゲットするTurboIDプローブの作出を試みた。種々検討の結果、核内脂肪滴の脂質に結合する分子とTurboIDをつないだプローブで核内脂肪滴周囲だけにビオチン化を誘導することができ、プロテオミクスによる解析を開始した。b) PMLの性質の解析:核内脂肪滴がPML小体の液滴としての性質に与える影響をFRAPで調べるため、Aで作出した細胞にClover-PMLをノックインし、内在性レベルで発現させる系を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
核内脂肪滴の形成機序について、脂質エステル合成、分解の両面から検討し、形成に重要な役割を果たす複数の分子を明らかにすることができた。また核内脂肪滴がPML小体に及ぼす影響を解明するために必要なプローブと細胞を樹立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた知見と材料をもとに核内脂肪滴がPML小体に与える影響の解析を進める。また細胞質脂肪滴に影響を与えず、核内脂肪滴の形成・分解だけを操作できる手法を確立して、核内脂肪滴の機能を詳細に明らかにし、細胞が種々のストレスにさらされた際の役割を解明する。
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