2023 Fiscal Year Annual Research Report
長期液性免疫記憶を支える骨髄nicheの構築とその制御
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22H00450
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒崎 知博 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任教授(常勤) (50178125)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | メモリープラズマ細胞 / Niche / 長期生存 |
Outline of Annual Research Achievements |
獲得免疫系で最も特徴的な現象は、メモリーをもつことである。例えば、ヒトでは、麻疹ワクチン接種後、ウイルスに対するメモリープラズマ細胞(高親和性抗体産生細胞)が作られ長期生存し、できた抗体によりウイルスを迅速排除し、あたかも感染が起こらなかったように見えるわけである。よって、このメモリーを用いて人類は麻疹ウイルスの撲滅に成功してきた。しかし、「どのようなメカニズムで、高親和性メモリープラズマ細胞が長期生存するのか」という根源的問いかけがなされておらず、従って、「感染とは異なり、インフルエンザワクチンでは、なぜウイルス抗体が長期間持続せず、毎年接種しなければいけないのか」という疑問が未解決のままである。 従来の方法論では、プラズマ細胞同定は、B220-CD138+という染色法だけが可能だったので、ある時期B220-CD138+と染色されたプラズマ細胞が、いつ産生され、その後どれだけ時間経過・成熟したかの情報は全く得ることができなかった。即ち、プラズマ細胞が産生されてからの一生をトレースできていなかった。申請者らは、その弱点を克服するためstamping法を開発した。このアッセイ系を用いると、メモリープラズマ前駆細胞が産生されてから成熟するまでの重要な成熟・生存チェックポイントを明らかにすることができる。 この方法を用いて、外来性抗原の免疫で作られる抗原特異的プラズマ細胞の動態を調べた。2次リンパ節・脾臓で産生されたプラズマ細胞を見てみると、転写因子KLE2の発現に注目し、KLF2hi KLF2loと2種類の細胞亜集団が存在し、KLF2hiのプラズマ細胞だけegress receptorであるS1PRIの発現が高く血中に出ていく。その後KLF2hiプラズマ細胞は骨髄に定着して長期生存することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Stamping mouseを樹立することにより初めてKLF2hi KLF2loと2種類の動態のことなるプラズマ細胞が作られているという発見につながった。
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Strategy for Future Research Activity |
今までIgGプラズマ細胞を中心に研究を遂行してきたが、プラズマ細胞の産生場所の違いにより動態が異なることが十分予測され、腸管パイエル板で産生されるIgAプラズマ細胞を詳細に検討してKLF2発現の違いを生じさせる原因についてさらに探索していく。
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Research Products
(21 results)