2023 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on the role of gut bacteria and cellular senescence in age-related carcinogenesis and its control
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22H00457
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原 英二 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (80263268)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 細胞老化 / 発癌 / 加齢 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年に引き続き12カ月齢のマウスを安楽死させた後に嫌気培養チャンバー内で解剖し、腸管に付着している腸内細菌を採取し、12カ月齢から増減し始める腸内細菌の単離培養を試みた。16S rRNA遺伝子配列を用いた系統分類上、最も近縁の細菌を公的バンクから入手し、これらの腸内細菌が細胞老化誘導能を有するかどうかをマウスの腸管に存在するB細胞を用いて行ったところ、1つの菌(B.acidifaciens)にB細胞の過増殖とそれに伴う細胞老化誘導遺伝子p16の発現誘導を引き起こす作用があることを見出した。逆に加齢に伴い減少する菌 (L.reuteri)にB現在の過増殖を抑えてp16遺伝子の発現を抑制する作用があることを見出した。現在それらの菌体成分の何が、どのようにしてB細胞の過増殖を促進、又は抑制することで細胞老化の誘導に影響を与えているのかについて解析中である。一方、既に我々は3500名を超えるヒトの腸内細菌叢解析により大腸癌患者の便に細胞老化誘導に影響を及ぼす腸内細菌が含まれている可能性があることを見出していた。そこで、ヒトの大腸がん患者で増加する腸内細菌の中から加齢とともに増加する菌と、逆にヒトの大腸がん患者で減少し、更に加齢に伴い減少する菌を絞り込み、それらの細菌を入手した。更にそれらの細菌を腸管に存在するB細胞と共培養することで細胞老化誘導に影響を及ぼすかどうか調べ、その中の数種類の菌に細胞老化誘導能もしくは抑制能がある可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスにおいて12カ月齢から増加し始める腸内細菌と減少し始める腸内細菌と系統分類上、最も近縁の細菌種を公的バンクから入手し、それらの菌を腸管に存在するB細胞と共培養することで、細胞老化誘導に影響を与える作用を有することが確認できたため。また、ヒトの大腸がん患者で増減している腸内細菌の中から加齢に伴い増減する腸内細菌を絞り込み、それらの菌も細胞老化誘導に影響を与える作用を有することが確認出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は既に同定したマウスやヒトにおいて加齢と伴に増減し、細胞老化誘導に影響を及ぼす細菌について、それらの菌体成分の解析を進め、その作用機序の解明を目指す。更にそれらの菌体構成成分をSPF環境下もしくは無菌状態で飼育した若齢のp16発現レポーター (p16-luc) マウスに投与し、インビボイメージングを行うことで、生体内で細胞老化を誘導する細菌であるかどうかを確認し、更にそれらの菌の存在が発がんにどのような影響を与えるかについても解析する。
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