2022 Fiscal Year Annual Research Report
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22H00460
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
喜多村 和郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60423159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 匡 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (40392162)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 運動 / プルキンエ細胞 / 2光子イメージング / ニューラルネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
レバー引き課題遂行に関わる登上線維シグナルを、2光子カルシウムイメージングにより取得し、登上線維からプルキンエ細胞への入力が、行動の何を表すのかを符号化モデルを用いて解析した。まず、レバー位置、レバー引き速度、レバー戻し速度、リッキング、報酬獲得の5つの行動パラメータを説明変数とした線形モデルにあてはめたところ、観測した90%以上のプルキンエ細胞において登上線維活動をうまく説明できることがわかった。それぞれの行動パラメータに対するあてはめ係数の違いにより、プルキンエ細胞を分類したところ、いくつかのクラスタに分けられることが明らかになった。それぞれのクラスタの特徴を調べたところ、全てのクラスタにおいてレバーの動きとリッキング運動に関する活動がみられ、そのうちの一部で運動に加えて報酬に関する活動があることがわかった。さらにこれらのクラスタの小脳皮質における空間分布を調べたところ、同じクラスタに属する細胞は空間的にも近接して存在しており、さらに、活動のノイズ相関を調べたところ同じクラスタに属する細胞同士の相関が有意に高かったことから、小脳皮質の機能単位であるマイクロゾーンに対応しているものと考えられた。これらの結果をまとめると、これまで我々が明らかにしてきた小脳ゾーンにおける多様な情報表現は、異なる情報を伝える登上線維が集団として多様な情報を表現しているのではなく、個々の登上線維のレベルですでに複数の異なる行動パラメータが表現されていることを意味する。実験で得られた登上線維活動を用いて大規模小脳回路シミュレーションを行ったところ、レバー軌跡を再現するような神経活動が得られていることから、登上線維活動により運動の調節や修正が行われていることを示唆する。また、レバー引き運動中の小脳ニューロンのスパイク記録を行うための実験系を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね計画通りに進展しているが、論文の査読と修正に時間がかかっており発表が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れている論文発表を優先して進めるが、レバー引き学習中の2光子イメージングとスパイク記録の実験を並行して当初の計画通りにすすめる。
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