2023 Fiscal Year Annual Research Report
High-definition Virtualization of sediment disaster by highly accurate and efficient numerical simulation
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22H00507
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺田 賢二郎 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (40282678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小高 猛司 名城大学, 理工学部, 教授 (00252271)
中島 研吾 東京大学, 情報基盤センター, 教授 (20376528)
森口 周二 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (20447527)
野村 怜佳 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (50900320)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 土砂災害 / 数値シミュレーション / MPM / ハイパフォーマンスコンピューティング / バーチャリゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
■ 項目A:水・空気混じり土の材料挙動の表現と検証計算:飽和土の流動挙動・構造物に作用する衝撃力の表現性能の検証および土の各種物理量が構造物の衝撃力に与える影響を明らかにすることを目的に、飽和土の流下・衝突実験の解析を行った.解析の結果から、衝突直前の速度分布や中央壁への到達時間,中間壁に作用する衝撃力の最大値が実現象と整合することを確認した。 ■ 項目B:不飽和土の陰解法MPM(IMPM)の開発:PIC形式とFLIP形式という2つの内挿形式があるが、前者は数値粘性、後者は計算の不安定性という問題があったが、これらを解消するためにXPIC形式を採用した。この形式ではスムージングのためのマッピングを繰り返し行い、その回数の増加によって安定性を保ちながら数値粘性を抑制できるようになった。 ■ 項目C:ミニチュアスケールでのモデル実験による精度検証:Fractional-step法を採用することで、水を非圧縮性とすることによる間隙水圧分布の安定化と計算コストの削減を図った。開発した解析手法で、項目A・Bで構築した材料モデルと陰解法MPMによる数値シミュレーションを行い、その破壊形態について検証を行った結果、実験と同様の放射状の浸透挙動と実験と同様に斜面先端から崩壊する挙動が表現できた。また序盤は特に浸透速度が整合し、崩壊後の流れるような挙動も類似した結果を確認した。 ■ 項目D:高精細バーチャリゼーション:今年度は、特にMPM による地盤材料の大変形問題や固液混合問題のための手法の開発において、空間充填曲線を用いた粒子ソートによるキャッシュヒット率の向上と動的負荷分散の実装を完了させることに注力し、その結果、2016年の阿蘇での土砂くずれを実大規模での解析が可能となり、実地形において流動挙動や橋梁への土砂の衝突力を評価に以降するための準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東大情報基盤センターの研究分担者の協力により、空間充填曲線を用いた粒子ソートによるキャッシュヒット率の向上と動的負荷分散の実装が完了し、実大規模の数値シミュレーションが可能となった。ただし、Wisteria(東大スパコン)の実装メモリ容量とストレージが比較的小さいことから、解析モデルの生成に工夫が必要であった。また、名城大学において実施予定であった実験は、費用面での不足もあり、当該年度には装置の試作のみで終わった。項目A・Bで構築した材料モデルと陰解法MPMによる数値シミュレーション手法の検証には、基盤研究(A)「 地盤の支える機能から流れる性質までの統合表現による数値シミュレーション研究代表者」(2019-2021)において、八戸工業大学で行われた水槽内ミニチュア盛土の不飽和土の崩壊実験結果を用いて行い、実験は当初の予定よりは遅れているものの、検証という目的は達成は出来た。一方、2021年のエビスサーキットでの土砂崩れの再現解析については、2次元解析を実施して開発手法が崩壊前後を一貫して解けることを確認した。ただし、解析時間が現実的ではなかったため、実際の崩壊深さを参考に粒子配置して粒子数を削減する工夫を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
■ 項目A:水・空気混じり土の材料挙動の表現と検証計算:昨年度開発に取り組んだサクションモデルを用いて、弾塑性構成則における粘着力がサクションに依存する構成則を構築し、これを開発を進めている陰的MPMのコードに実装する。ただし、間隙比、飽和度、水・空気・土の相の変化を適切に制御できるように運動方程式の解法と一体的にモデル化する。 ■ 項目B:不飽和土の陰解法MPM(IMPM)の開発:固体単相の解析を対象に開発した陰解法Extended B-spline-MPMを2相混合体の解析にも対応できるように拡張し、その精度・安定性を検証する。また、昨年度は物理量の更新にPIC法を採用したことによる過度な数値粘性を抑制すためにXPICを導入したが、本年度はその更なる精度検証を早期に終了し、開発を進めている陰的MPMのコードに実装する。 ■ 項目C:ミニチュアスケールでのモデル実験による精度検証:昨年度に引き続き、降雨による水分供給を受けて崩壊する模擬山岳斜面のモデル実験を実施する。この際、雨水の土中への浸透実験とその再現解析、過去の実大規模実験の再現解析、および斜面防災分野のエキスパートを招へいして議論を交わし、3項目についてのフィージビリティスタディを行う。 ■ 項目D:高精細バーチャリゼーション 動的負荷分散を実装した陽的MPMについて、引き続きチューニングを行いながら2016年の阿蘇での土砂くずれを実大規模での解析にとりかかる。一方、2相混体体(飽和土)の解析のために開発予定の陰解法EBS-MPMについては、対角スケーリングを用いたGPBi-CG 法を使用するなどして,新たな疎行列格納形式や,大規模問題に有効なブロック不完全コレスキー分解や幾何マルチグリッド前処理などの導入を検討し、連立一次方程式の求解部の計算時間を1/2~1/3 に削減することを目標とする。
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Research Products
(11 results)