2022 Fiscal Year Annual Research Report
飛翔性動物の流体内移動分散モデルの開発とそれに基づく新しい生態系管理技術の構築
Project/Area Number |
22H00569
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
依田 憲 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (10378606)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩見 こずえ 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (50756947)
飛龍 志津子 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (70449510)
山本 誉士 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (70637933)
吉田 聡 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90392969)
山本 麻希 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (90452086)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | バイオロギング / 鳥類 / コウモリ類 / 風況 |
Outline of Annual Research Achievements |
人間社会と野生動物の距離が近づくにつれ、動物の移動分散に伴って生じる様々な生態系問題(獣害や風発衝突など)を包括的に解決するアプローチが強く求められるようになってきた。本研究ではこの要求に対して、解決の難しい問題を現在抱えている飛翔動物(鳥とコウモリ)の移動分散を最先端の動物搭載型センサを用いて追跡し、高精度・高解像度の移動情報と風況データを統合するモデリングとシミュレーションを実現して、生物移動予測の基盤技術を高度化する。本年度は機材調達の後、新潟県で育雛するオオミズナギドリと青森県で育雛するウミネコに対して、データロガーの取り付けを行った。また、野生のヤマコウモリに対して音響GPSロガーを装着し、音響情報と合わせることで採餌高度等の情報を得ることができた。また、沖縄のオオコウモリに対してバイオロギングによる採餌移動経路の記録も行い、季節や成熟度による夜間移動の違い等に関して分析を行った。解析に関しては、サーマルソアリングをする鳥類から得られた、3次元経路と体軸方向の時系列データを解析し、彼らが上昇流内を旋回上昇する際の移動戦略を検証した結果、飛行高度が高くなるほど旋回方向の切り替えが起こる確率が上昇することがわかった。この結果から近年グライダーの自動操縦アルゴリズムで提唱されている移動戦略と似た戦略を鳥が採用している可能性が考えられ、今後更なる詳細なデータ解析を進めていく予定である。さらに、海鳥の移動データから推定された風を同化し、風況の解析及び台風位置推定への影響を調査した結果、台風強度や推定位置の解析に変化が確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鳥類、コウモリ類ともに、当初の計画以上に行動データを得ることができた。さらに、飛翔動物と風に関する解析も、統計モデルやデータ同化などの異なる方面から進行している。また、成果の一部をトップ誌(PNAS)に発表することができた。これらを鑑みて、おおむね順調に進んでいると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
野外行動データの取得に関してはおおむね順調に進んでいるため、引き続き野外実験を行っていく。また、得られたデータの解析をさらに進めていく。
|