2022 Fiscal Year Annual Research Report
植物ポリマーを利用した多機能バイオ化成品製造エコリファイナリーシステムの開発
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22H00573
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
浅田 元子 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 教授 (10580954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
異島 優 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 准教授 (00457590)
山田 久嗣 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 准教授 (80512764)
櫻庭 春彦 香川大学, 農学部, 教授 (90205823)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 植物ポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
植物性バイオマス中のセルロースとリグニンを有効利用するために、深部共晶溶媒(DES)処理、分離、アセトン抽出、酵素糖化、グラインダー処理からなるトータル利用システムを開発し、評価した。孟宗竹粉末のDES処理によるヘミセルロースとリグニンの効率的な除去により、セルロースに富む固体残渣を得ることができた。固形残渣中のセルロースの割合は、150℃で3 hのDES処理では75%以上であった。固形残渣を有効利用するために、酵素糖化によるグルコース生産およびグラインダー処理によるリグノセルロースナノファイバーの作製を試みた。DES処理により糖化率とグルコース生成率が大幅に増加し、120℃で6 hのDES処理でそれぞれ75.5%と0.271g-グルコース/g-試料の最大値が得られた。これらの値は未処理バイオマスの約10倍であった。150℃で3 hの固体残渣から得られたリグノセルロースナノファイバーの比引張強度および比弾性率はそれぞれ131 MPa/(g/cm3)および8.88 GPa/(g/cm3)であった。これらの値は、市販のセルロースナノファイバー(BiNFi-s)の110 MPa/(g/cm3)および5.91 GPa/(g/cm3)よりも高くなった。この結果は、DES処理が比較的穏やかな処理であり、高い機械的強度を有するリグノセルロースナノファイバーを得るためにセルロースナノファイバー長を維持したまま脱リグニン化が可能な前処理方法であることを示唆している。また、DES処理後の上澄み液からリグニンを多く含む画分(低分子量のリグニン)が抽出分離され、エポキシ樹脂の原料として用いることができることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DES処理によって得られたセルロースナノファイバーを原料としたDDSの作製と評価、低分子量リグニンを原料とした電子基板材料用エンジニアリングプラスチックの合成がやや遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
種々の処理時間、処理温度およびDES構成成分割合におけるDES処理によって得られた処理物の物理的・化学的特性を明らかにする。処理物から分離されたセルロース画分を原料としたセルロースナノファイバーを製造する。次に、製造したセルロースナノファイバーを原料としたDDS担体の作製と評価を行う。さらに、処理物から分離された低分子量リグニン画分を原料とした電子基板材料用エンジニアリングプラスチックの合成を行う予定である。
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