2022 Fiscal Year Annual Research Report
オンライン多文化学習において学習者特性がグループ内の関係性構築に与える影響の研究
Project/Area Number |
22H04034
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
猪口 綾奈 早稲田大学, 日本語教育研究センター, 非常勤講師
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多文化理解 / グローバル教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、オンラインを用いた多文化理解学習において、学習者の社会的対人スキルと教師に対する期待値意識がグループ活動での人間関係構築に与える影響について明らかにすることである。そして、その検証を用いて円滑な協働活動や対話を可能にするグループ編成を行い、グローバル能力を開発するオンライン多文化理解学習の効果を高めることを目的とする。本研究では、学習者の多様な価値観や行動傾向がどのようにグループの関係性構築に影響しグループ活動の成否を左右しているかを検証し、学習活動の効果的な実践を目指すものである。 調査は二調査(調査1,2)に分類され、調査1では学習者の特性や意識を分析した。分析は、対人関係を円滑にする社会的スキルを測定する「KiSS-18 (Kikuchi’s Scale of Social Skills: 18 items)」(菊池, 1988)を使用し、学習者の行動傾向や価値観を量的な視点から把握した。また、学習者が教師に求める期待値も測定項目に加えた。調査2では、調査1の分析結果を用いて編成したグループで授業活動を行い、活動後にグループ活動の成果や満足度についてアンケートを実施した。 その結果、対人スキルが高く教師への期待値も高いグループについては、活動に対する満足度は高い傾向があった。対人スキルが低いグループについても満足度が減少することはなく、平均以上の満足度を保持していた。一方、教師への期待値が低いグループについては満足度が低い傾向があった。これらの結果から、学習者のグループ活動での人間関係構築において、社会的対人スキルよりも教師への期待値意識の方が影響力がある可能性があることが検証できた。
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