2022 Fiscal Year Annual Research Report
小学校図画工作科鑑賞学習における国語科との教科連携による教材開発
Project/Area Number |
22H04057
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
野網 学 大阪教育大学, 附属学校園, 小学校教諭
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 図画工作科 / 鑑賞学習 / 教科連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
国語科と連携した鑑賞学習の教材開発を行い、児童のポートフォリオから、各学年の「書くこと」について分析した。「書くこと」の領域では、お話づくりの記述において、国語科「書くこと」の能力の違いは明らかであったが、内容の差は少なかった。船が津波に襲われているお話が多く、発達段階が上がるにつれ、語彙や文と文を繋ぐ言葉が増えた。「そのお話を描くために、どんな形や色であらわしているでしょうか?」の発問に対する記述では、1年生から3年生までは、お話づくりと区別することや発問の意味を理解することが難しかった。4年生から段階的に、発問に対する答えを導きだせるようになり、6年生は美術の要素に関する語句を扱うことができていた。全体的に無回答率が高かった大きな要因として、2つ目の発問のわかりにくさがあった。鑑賞学習を実践する上で、発問の大切さが浮かび上がってきた。以上の結果から、鑑賞の能力における発達段階の差はあると感じていたが、「書くこと」における主題に迫る発問では、発達段階による段階的な傾向が見られたものの、感じ取り方や考え方などに大きな差はなく、その伝え方に巧拙があることがわかった。さらには、「書くこと」では、鑑賞学習における指導者の発問の重要さが浮かび上がってきた。本研究において分析し始めた時には、児童の発達段階を分析することによって得た特徴に合わせた教材開発をして、今後の鑑賞学習に活かすことができると考えていた。しかし、分析することにより、発達段階にみる「書くこと」と「見ること」「話すこと」の3つの観点の違いは、発達段階だけではなく児童の経験や指導者の力量によっても違ってくることがわかった。それらの具体的な対応はまだ考えられていない段階にある。今後は、まず目の前の児童に応じた発問を追究することにより、鑑賞学習を賦活させて、児童の鑑賞の能力の向上に努めたい。
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