2022 Fiscal Year Annual Research Report
独唱歌唱からPassaggioに着目したUna voce探究-個別最適な歌唱指導-
Project/Area Number |
22H04063
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
滝沢 健作 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教諭
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 個別最適な学び(個人レッスン) / 主体的・対話的で深い学び / 独唱(Passaggio) |
Outline of Annual Research Achievements |
中等教育音楽の歌唱活動の核である合唱活動がコロナ禍で敬遠されている中での歌唱活動の継続と文科省が掲げる「個別最適な学び」に向けた視点で個人で歌う「独唱」に特化し、個別の歌唱に於いて声楽の「Passaggio」(パッサッジョと読み声楽歌唱に於ける声の変換点の事を言う)の概念を理解又は感受させ一人ずつ異なる自身の声(Una voce)の奥深さや多様な個性を体感させ「主体的・対話的で深い学び」の実現の検証、授業研究が本研究の核である。対象は普通科高校音楽Ⅱの受講生徒とし歌唱教材として音楽Ⅱ教科書掲載の弘田作曲日本歌曲「浜千鳥」Bellini作曲イタリア近代歌曲「Vaga luna」Faure作曲フランス近代歌曲「夢のあとに」を歌唱教材とした。2時間授業のうち各楽曲の音取り(斉唱)や発音練習、楽典的な内容確認を集団授業で前半1時間行い後半1時間を各自の復習、練習時間としその間に別の部屋で1人15分程度の短い個人レッスンを行った。個人レッスンでは簡単な音階歌唱による発声練習と上記3曲から自ら選んだ1曲を歌唱し斉唱での音取り歌唱と個人レッスンでの独唱歌唱の差や気づき難しい点や歌いにくい個所(Passaggio部分)について教員の範唱を含むレッスンを通して独唱し完成度や楽曲理解の向上を図った。授業内で個人レッスンを行うのは3名程度が限界でありその中でいかに効果的に歌唱活動の奥深さに気づいてもらうか、教材を減らすべきか等課題が残ったが、1か月で12名のレッスンを行いそれを3回、3カ月の期間を使い自身の声(Una voce)とじっくり向き合う事になり「個人レッスン形式」自体の新鮮味が歌唱活動への強い興味関心を生んだ。その結果生徒自らBeethoven交響曲9番の第4楽章を独唱付きで行いたいとあり本校音楽祭で抜粋演奏を披露する事が出来た。本研究の報告を本校紀要の東大附属論集第66号に投稿した。
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