2022 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期のレジリエンスを育む環境・援助と評価の在り方ー協同的な運動遊びを通してー
Project/Area Number |
22H04080
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中山 芙充子 広島大学, 附属三原幼稚園, 教諭
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | レジリエンスを高める経験 / コラボレーションする力の高まり / 幼小接続カリキュラム |
Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的:本研究は,協同的な運動遊びを通して幼児期の「レジリエンス」を育成する環境・援助と評価の在り方を明らかにすることを目的とする。
○研究方法:(1)5歳児の協同的な運動遊びに焦点をあて、チーム戦や作戦会議など協同する活動を充実することで、友達と思いを伝え合いながら課題解決に取り組む保育を実践する。(2)協同的な運動遊びでレジリエンスが育まれている場面をエピソード記録におこし,幼稚園・小学校などの複数教員でカンファレンスを行い,評価の妥当性や信頼性を高める。また,カンファレンスを基に適切な環境・援助及び評価方法を明らかにする。 ○研究成果:(1)5歳児の協同的な運動遊びを通して「レジリエンス」を高める経験として、①役割を果たす、②仲間とぶつかり合う、③人の話を聞き多様な考え方を知る、④柔軟に考える、⑤感情をコントロールする、⑥小さな失敗と成功を繰り返す、⑦認められる喜びを感じ自信をもつなどの7つの経験が明らかとなった。(2)評価方法として、エピソードカンファレンスにおける質的評価だけでなく、ルーブリックに基づく量的評価を新たに取り入れ、質的・量的両面の評価方法を明らかにすることができた。(3)質的・量的評価において、協同的な運動遊びの場面で「レジリエンス」の基礎となる資質・能力(粘り強く取り組む力・コラボレーションする力)の高まりが見られ、5歳児期に年間を通して協同的な運動遊びを取り入れる有効性が明らかになった。(4)「レジリエンス」に関するエピソードをもとに小学校低学年教員とカンファレンスを行うことで、幼小接続期で大切にしたい環境・援助が明らかとなり、それをもとに、レジリエンスを培うための幼小接続期カリキュラムを策定することができた。 今後は、レジリエンスを高める経験を階層的に積み上げる幼小接続に取り組んでいきたい。
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