2022 Fiscal Year Annual Research Report
中学校の英語の授業で国際共修の理論の確立を図る ーグローバルシチズンを目指してー
Project/Area Number |
22H04087
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Research Institution | 仙台市立上杉山中学校 |
Principal Investigator |
若生 深雪 仙台市立上杉山中学校, 中学校教諭
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 国際共修 / グローバル・シチズンシップ / オンライン交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、公立中学校の英語の授業で、グローバルシチズンに必要な力を育むために、どのような授業が有効なのか(ないのか)、を実践によって明らかにし、「国際共修」(末松他,2019)の中学生版の理論の構築を試みることであった。研究方法は、実証研究の手法を採用した。そのため、中学校2年生の5クラスの英語の授業で、ジョージア、スロバキア、イラン、台湾などの国々の学生と、オンライン、Gメール、手紙、成果物の交換などをする交流を、同期・非同期型、個別・グループの異なる形態を設定して効果の比較を試みた。授業の後、国際的志向性のアンケート(Yashima, 2009)、学習者の振り返り、そして筆者の授業観察から効果を検証した。その結果、 (1)交流の活動形態により効果の違いが見られ、個別のメール交換では、相手意識や異文化を受容する態度が高まった。(2)一方、5,6人編成でオンライン交流をした学生グループは、国際的な仕事への興味・関心が高まり海外とのつながりを求める志向性が高まった。(3)AI翻訳、プレゼン作成ツールの使用から実践的なICT活用能力が高まった。(4)国内での事前と事後のグループ学習で協働スキルが育まれた。(5)自分の意見を英語で表現する英作文能力が向上した。(6)授業方法は、文化交流レベルの内容は容易であったが、様々な資質・能力を要する問題解決学習を授業方略として導入するのは難易度が高かった。 本研究からの示唆は以下のとおりである。交流する学生には、事前学習の過程で問題解決をするトピックに対して、十分に知識面と心情面で理解をさせ自分事として捉えさせておくことが最も重要である。その上で、直接相手の顔が見えるオンライン交流に臨ませることが、実りのある問題解決学習につながり、中学校の英語の授業が意味のある「国際共修」に結びつく第一歩であろう。
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