2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22H04123
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
嶋 俊樹 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 助教
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 視覚障害 / 地理的知識 / 教材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、視覚に障害のある児童の地理的知識の実態を明らかにするため、質問紙に基づく聞き取り調査を行い、児童の実態および教材開発への検討に向けた教材の試作を行った。 特別支援学校(視覚障害)に在籍する幼児児童生徒数が減少傾向にあるが、協力の得られた2校に在籍する小学部低学年(1・2年)児童5名に対し調査を行った。調査項目は、住所、学校の所在地、市区町村、都道府県、国などを示す名称とそれらの活用状況である。住所の正答率は20%で、無回答・不正確な回答もあったが、住所には都道府県、市区町村、大字等の名称が地理的知識として児童が有していることが明らかになった。学校の所在地の正答率は0%であったが、都道府県名、学校名に含まれる地名を回答する児童もいた。特別支援学校の学校名に都道府県名が含まれることもが多く、児童の地理的知識として習得された可能性がある。小学部低学年において、学校の所在地に比べ居住地の周りの地理的知識は習得する傾向が示唆された。視覚情報の入手が困難なことによる傾向であるかは不明な点も多いため、小学校低学年の晴眼児の実態調査を実施し比較することも必要である。 上述の実態から、特別支援学校(視覚障害)小学部3年生の社会科で、学校の周りを題材として扱う際に、児童が有する地理的知識に応じた指導が必要である。今後の教材開発への検討につなげるために、学校の周りの地形を3Dプリンタを用いて教材を試作した。地形の高低差に着目し、国土地理院ホームページよりSTLファイルを入手し、高さ方向の倍率を0倍、3.3倍、6.6倍、9.9倍とした。実際に学校のまわりの学習で、どのように活用できるか、高さ倍率、範囲など、既存の教材及び指導方法と関連付けて継続して調査・研究を進めていく必要がある。 視覚に障害のある児童と晴眼児の地理的知識の実態の比較に基づく新たな学習活動の展開の可能性も期待される。
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