2022 Fiscal Year Annual Research Report
高校物理における「自己調整学習」を促す宿題とITセンサを用いた介入法の検討
Project/Area Number |
22H04147
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Research Institution | 京都府立園部高等学校 |
Principal Investigator |
髙橋 幸太郎 京都府立園部高等学校, 京都府教育委員会 非常勤講師
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高校物理 / 自己調整学習 / 動機づけ |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】近年,注目を集める「自己調整学習」を促す介入法として,ITセンサと宿題に着目し,高校物理において積極的に活用することの有効性を明らかにすることを目指した。本研究では特に,自己調整学習の主要素である「動機づけ」と「メタ認知的方略」に着目し,介入の前後でどのように変化するかを明らかにした。 【介入方法】ITセンサは実験のデータを瞬時にグラフとして可視化でき学習者の注意を実験結果にのみ向けることが可能となるため,ITセンサには授業の議論を活性化させる効果が期待される。そして,活発な議論が交わされた授業の最後に「他者との議論を通して自身の考えはどのように変化したか」を振り返り,この振り返りを1つの学び方と捉えさせることでメタ認知的方略の支援になると考えられる。他方,宿題には授業と次回授業の内容を接続する働きがあり,授業間のギャップを埋めることで学習者の理解および学習に対する自信の喚起が期待される(髙橋・谷口, 2022)。 【手続き】当初の実施計画通り,高校「物理基礎」を受講する高校1年生20名を対象に介入を行った。本介入の効果を検証するため,先行研究によって開発された「動機づけ尺度」および「学習方略尺度」を用いて,介入の前後で質問紙調査を実施した。 【結果・考察】動機づけ得点は介入前から介入後にかけて有意に向上したが,メタ認知的方略の使用頻度は介入の前後で僅かに向上したものの,その差は有意ではなかった。ここから,本介入は自己調整学習の基盤となる動機づけの支援としては有効であるものの,具体的な学習の進め方であるメタ認知的方略の支援としては不十分であることが示唆された。要因として,本介入はメタ認知的方略の紹介に留まっており,実際に活用する機会を提供することが重要であると考えられる。
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