2022 Fiscal Year Annual Research Report
EDXーSEMと反射電子像の検出原理の違いを活用した教材開発の検討
Project/Area Number |
22H04185
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
高松 貴子 長岡工業高等専門学校, 教育研究技術支援センター, 技術職員
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 走査型電子顕微鏡 / EDS / 教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
走査型電子顕微鏡 (SEM)実習用教材として,これまで「見分けられる」ことに着目し,原子番号が大きく異なるC,Agペーストを塗り分けた試料を用いて,原子番号の違いがSEM反射電子像のコントラストの違いとして観察できることを学ぶ機会を設けてきたが,どのような場合にコントラストの差が明確でなく構成元素が判別しにくいのか実習する機会がないことが課題であった。SEM反射電子像やEDXマッピング像において,どのような構成元素の違いは見分けにくいのかを学ぶことができる「見分けにくい」ことに着目した実習教材の検討を行った。 赤橙色のCuと銀灰色のZn,Mo,黄色のSをひとつの試料台に固定したものを実習試料として用意した。この試料の二次電子像,反射電子像およびEXDによる元素マッピング像観察をEDS付き走査型電子顕微鏡(JEOL, JSM-6360LA)により行った。目視ではCu, ZnやMo, Sの組み合わせは異なる色で判別が容易である。この組み合わせにおいてCu, Znの反射電子像は,原子番号の差によるコントラストの違いが少なく判別しにくいが,EDXによる元素分析では明瞭に区別可能である。一方, Mo, Sは,反射電子像での区別が容易であるが,EDXによる組成分析においては,MoのLα線と,SのKα線のエネルギー値が近いため元素マッピング像においてはMoとSの判別しにくい。このような試料を実習用教材に用いたSEM-EDX講習を実施し,受講後にアンケート調査を行ったところ,本校材を用いて実習することで,反射電子像観察とEDX像観察について理解度が向上し,実習が有益なものになったと回答が得られ,本教材の有効性が示唆された。
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