2022 Fiscal Year Annual Research Report
十分な強度と防水性能を備え、尚且つ軽量で容易に携行可能な地震計用保護カバーの開発
Project/Area Number |
22H04199
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
平野 舟一郎 鹿児島大学, 理工学研究科, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地震計用保護カバー / 軽量 / 防水 |
Outline of Annual Research Achievements |
地震計用保護カバーについて、申請者は重量物(20kg程度)である市販のコンクリート製品を多用してきた。一方、大規模地震、あるいは、火山噴火発生に伴う過去の臨時観測では、地震による道路損壊や崖崩れによる通行止め、または、噴石や礫で覆われた火山地帯であるといった地形的条件の制限を受け、徒歩で観測地点へアクセスせざるを得ない状況に遭遇することがあった。その際、一人が運搬する機材等の重量は40kg以上に及ぶこともあり、移動を含めた作業効率が著しく低下するといった問題が生じていた。そこで、強度と防水性能を備えつつ、軽量な地震計用保護カバーの開発を行った。開発した保護カバーは円筒形を成しており、本体(胴体)と上蓋で構成される。具体的には、本体に硬質ポリ塩化ビニル管、上蓋に硬質ポリ塩化ビニル管継手を使用し、本体は地震計のサイズに合わせて切断した。他の材料を含めた総重量は3kg以下に収まり、大幅な軽量化を実現した。また、上蓋の上面を穿孔し、透明のポリカーボーネート板を取り付けた。これにより、穿孔箇所は十分な強度を維持するとともに、カバーが設置されている固定を取り外すことなく、上面より内部地震計の状態を目視確認することが可能となった。更に、地震計の交換やレベルの調整が必要である場合、上蓋は簡単に脱着可能な設計であり、保守作業が容易に行えるよう工夫されている。防水性能は、IP保護等級を正確に評価する試験設備を持たない為、高圧洗浄機を利用し、代替えの試験を実施した。結果、IP保護等級5~6に相当するとみなすことが出来、台風等に伴う暴風雨の条件下でも使用が可能であると評価した。実際の使用は、上陸ならびに設置環境が非常に困難であるトカラ列島横当島(無人島)観測点に於いて、12月に設置を行った。その際、以前より圧倒的に軽く扱い易いと実感した。現在、変形、変色、劣化等、耐候性について経過を観察中である。
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Remarks |
令和4年度東京大学地震研究所職員研修会(口頭発表)
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