2022 Fiscal Year Annual Research Report
球頭型回転工具を用いたバニシング加工による環境低負荷鏡面化技術の開発
Project/Area Number |
22H04201
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
青山 直樹 福井大学, 工学部, 班長
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バニシング加工 / 射出成形用金型 / 表面仕上げ |
Outline of Annual Research Achievements |
過去の研究において、コーテッド超硬工具を用いたバニシング加工をアルミニウム合金に施し、表面性状の向上や表面改質効果があることを示し、射出成形用金型加工への適用を検討してきた。しかし、アルミニウム合金は鋼材と比較し硬度が低く、耐摩耗性が劣るため中ロット生産以上の金型材とするには困難である。そこで、本研究では中ロット生産以上の金型材で用いられるプリハードン鋼に種々のコーテッド超硬工具を用いたバニシング加工を行い、コーティングの差異による工作物表面に与える影響を調査するとともに、バニシング加工のプリハードン鋼金型仕上げ工程としての適用性を検討した。 実験で適用したバニシング加工法は、一般的なマシニングセンタを用いて工具と工作物の接触点をミクロンオーダーでプログラム制御し、工作物表面の微小な凹凸部を押し均し平滑化する位置制御バニシング加工である。実験方法は、まず前工程で規則的な表面粗さを得るため機械軸のX方向に切削加工を行い、後工程で前工程の加工軌跡と直交するように機械軸のY方向にバニシング加工を行った。使用工具は、AlCr系コーティングが施された超硬切削工具を切削加工に、ノンコーテッド超硬工具、DLCコーテッド超硬工具、TiAlNコーテッド超硬工具をバニシング加工に用いた。 切削加工した仕上げ面と3種の超硬工具を用いてバニシング加工した仕上げ面を比較評価した。各々の仕上げ面の表面粗さ測定を行った結果、切削加工による仕上げ面よりバニシング加工による仕上げ面の方が良好な値を示した。中でも、DLCコーテッド超硬工具を用いた仕上げ面において最も良好な表面性状が得られた。また、バニシング加工に用いた工具の滑り特性を調査するためにボールオンディスク試験を実施し、DLCコーテッド超硬工具の摩擦係数が最も小さかった。工具の滑り特性が工作物表面に影響を与えることを明らかにした。
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