2022 Fiscal Year Annual Research Report
耐圧性能の明確化による安全性と製造コストを両立したガラスセルの製作
Project/Area Number |
22H04204
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 拓也 東北大学, 多元物質科学研究所, 技術一般職員
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ガラスセル / 耐圧試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 本研究はガラスセルの製作において、CAEによる応力シミュレーションならびに製品の破壊テストから適切な製作条件と耐圧性能を明確にし、安全性と製作コストを両立した実験に最適なガラスセルの設計・製作を目的とする。 研究方法 ガラスセルの製作にあたり、新たにCAEによる応力シミュレーションを導入した。設計段階からガラス板の厚さ、溶着箇所の形状などの条件を変化させシミュレーションすることで、発生する応力とその分布を解析し、得られた条件のもとガラスセルを試作した。試作品は水圧テストポンプにて破壊テストを行い、破損発生箇所や破損した圧力の数値などのデータから、適切な材料および溶着箇所の形状といった製作条件やガラスセルの耐圧性能を明確にした。 研究成果 ガラス板を6面に貼り合わせた角形、ガラス管の両端2面にガラス板を貼り合わせた円筒型の2種類のガラスセルを設計し、内部に圧力をかける応力シミュレーションをした結果、どちらも溶着箇所の内側に応力が集中した。発生する応力の値は、角形は円筒型のおよそ3倍程度の値となり、さらに溶着箇所の形状やガラス板の厚みによっても差が出た。シミュレーションの結果を踏まえ、1,1.5,2mm厚の石英ガラス板および管を使用し、溶着箇所の形状としてそれぞれ0,1,2mmのアールを付けたガラスセルを製作した。水圧テストポンプにてガラスセルが破損するまで加圧する破壊テストでは、シミュレーションの通り溶着箇所からの破損を確認した。また溶着箇所のアールが大きいほど耐圧性能が上がることが判明し、円筒型においては測定可能範囲(2.5MPa)を超えた圧力でも破損しなかった。一方でガラス溶着面の前処理や洗浄が不十分であると溶着の際に気泡が発生することがあり、そうしたガラスセルは適切な製作条件を満たした場合でも耐圧性能が大幅に低下することが判明した。
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