2022 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュにおける外来遺伝子の安定的発現を実現する基盤技術の開発
Project/Area Number |
22H04263
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
坂 季美子 国立遺伝学研究所, 技術課, 技術職員
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トランスジェニックゼブラフィッシュ / CRISPR/Cas9 / phiC31インテグラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】外来遺伝子を安定的に発現するトランスジェニック(Tg)生物を作出するためには、外来遺伝子をゲノム上のセーフハーバー領域に組み込む必要がある。しかしながら、ゼブラフィッシュにおいて、そのような手法は未だ確立されていない。研究代表者の所属研究室で過去に作出されたUAS:GFP Tgゼブラフィッシュは、十数世代にわたり、Gal4存在下でGFPを高発現し続けてきた。この系統のUAS:GFP配列の導入部位をセーフハーバー領域と推定し、その領域に目的遺伝子を組み込む手法の開発を目指した。 【研究方法】まず、CRISPR/Cas9法により、phiC31インテグラーゼ認識配列attPをセーフハーバー推定領域に組み込んだノックインフィッシュを作出した。次に、このノックインフィッシュと筋肉特異的Gal4系統を掛け合わせて得られた受精卵に、phiC31インテグラーゼ認識配列attB、UAS配列の下流につなげた赤色蛍光タンパク質遺伝子mScarletを有するドナープラスミドをphiC31インテグラーゼmRNAとともに顕微注入した。 【研究成果】筋肉特異的にmScarletを発現する稚魚を選抜し、これらを成魚になるまで育て掛け合わせた結果、Gal4存在下で筋肉特異的にmScarletを高発現する次世代が得られた。PCRとシーケンス解析により、mScarletを発現する次世代において、ドナープラスミドがattP配列に組み込まれていることが明らかとなった。この手法を応用し、UASの下流にニトロレダクターゼ遺伝子NTRを配置したTgフィッシュを作出したところ、メトロニダゾール投与により、組織特異的に細胞死を誘導することに成功した。このように、本手法は有用なTgゼブラフィッシュの作出に活用できるため、多岐にわたる研究の発展に貢献すると期待される。
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