2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22H04268
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
影山 敦子 麻布大学, 獣医学部, 非常勤職員
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 早期卵巣機能不全 / 亜鉛トランスポーター / 亜鉛イオン |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト不妊症の原因には様々あるが,その中で年齢の若いうちに卵巣内の卵が枯渇することで不妊になる早期卵巣機能不全がある.これまでの研究において卵で高い発現が認められた亜鉛輸送体遺伝子を欠損した雌マウスは7週齢までに卵巣内の卵数が減少して不妊となり,早期卵巣機能不全と類似した表現型を示すことを明らかにした.そこで本研究では,哺乳類における亜鉛シグナル依存的な卵巣機能を分子レベルで明らかにし,卵巣内の卵が枯渇する原因の解明を試みた. 性成熟した亜鉛輸送体遺伝子欠損雌マウスと野生型の雄マウスを交配させて妊孕性を調べたところ,不妊であった.その原因を解明するため,7週齢の雌マウスから,過剰排卵処置して採卵および卵巣を回収し,形態的観察を行なった.その結果,採卵数および卵巣重量が著しく低下,卵巣内に卵胞数が少ないという結果を得た.そこで3-7週齢の卵巣を採取し,卵巣重量の測定および染色を行った.いずれの週齢においても卵巣重量は著しく低下,卵巣内の卵胞数は少なかったが,蛍光染色の結果より,3週齢では卵巣内に原始卵胞卵が多く確認された.上皮に発現している亜鉛輸送体は,がん抑制遺伝子ファミリーのp63遺伝子の発現を上昇させ,アポトーシス抑制に関与することが報告されていることから,亜鉛輸送体遺伝子欠損雌マウス卵巣でのp63およびアポトーシスのマーカー遺伝子の発現を蛍光染色により確認した.その結果,p63遺伝子は卵で発現し,さらにアポトーシスは生じていなかった.しかし3週齢雌マウスに過剰排卵処置したが採卵できず,卵胞が過剰排卵のホルモンに反応していなかった. 以上の研究結果から,亜鉛輸送体遺伝子を介した亜鉛シグナルがアポトーシスによる卵巣内の卵子数減少の原因ではなく,卵成熟過程に重要な役割をもつことを明らかにした.今後はより若齢個体での卵巣内の卵胞発育・休眠に関連する因子に着目して研究を進める.
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Research Products
(5 results)