2022 Fiscal Year Annual Research Report
固相誘導体化-同位体希釈質量分析法によるヒト血液中グリホサートの新規定量法の確立
Project/Area Number |
22H04280
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Research Institution | 千葉県警察本部 科学捜査研究所 |
Principal Investigator |
鈴木 雄亮 千葉県警察本部 科学捜査研究所, 科学捜査研究所 専門研究員
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 固相誘導体化 / グリホサート / 同位体希釈質量分析法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホームセンターやドラッグストア等で入手が非常に容易であり、中毒事案が散見される含リンアミノ酸系除草剤「グリホサート」について、ヒト血液中のグリホサートの新規定量分析法を開発した。グリホサートを添加したヒト血液に安定同位体標識グリホサートを加え、これを固相抽出カートリッジに通して固相上にグリホサート及び安定同位体標識グリホサートを保持させ、その状態で誘導体化反応(固相誘導体化)を行った。誘導体化反応には、アミノ酸の分析で汎用されるクロロギ酸フルオレニルメチル(FMOC)と四ホウ酸ナトリウム10水和物の混合溶液を用いた。固相上で生成した反応物(FMOC-グリホサートおよびFMOC-安定同位体標識グリホサート)を質量分析計で検出し、その信号強度を比較することで定量を行った。本法を用いることで、簡便かつ迅速なヒト血液中のグリホサートの定量分析が可能となった。中毒事案においては、中毒原因物質を特定するための定性分析だけではなく、その中毒レベルを把握するため、迅速な定量分析が求められることから、本法は、救急医療の現場や、犯罪の立証等に資するものであると考えられる。
定量分析:濃度を明らかにするための分析、安定同位体標識グリホサート:グリホサートと極めて類似した物理化学的挙動を示す物質、固相抽出カートリッジ:プラスチック製の注射筒に固相(吸着剤のようなもの)を充填したもの、誘導体化反応:目的物質に別の化学物質を作用させ、目的物質の性質を変化させること
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