2022 Fiscal Year Annual Research Report
シンバスタチンによるオキサリプラチン誘発末梢神経障害予防効果のメカニズム解明
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22H04284
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高橋 志門 徳島大学, 病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 末梢神経障害 / AI創薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、オキサリプラチンによる慢性期神経障害の発現抑制にシンバスタチンが有効であることを見出している。本研究では、AIを用いたシンバスタチンの作用標的および関連シグナルの探索、臨床応用化を見据えたシンバスタチン併用時の抗腫瘍効果に及ぼす影響について検討した。 まず、シンバスタチンの作用標的遺伝子および関連シグナルを探索するために創薬支援AIであるCascadeEyeを用いて、Causal genes・Responding genesについて網羅的に解析し、計310遺伝子を抽出した。Pathway解析より、これまでに複数のサブクラスがあることが報告されているGlutathione-s-transpheraseのうち4種類と神経障害発現の関連性が高いことを見出した。また、神経障害発現との関連性の高い因子として5つが見出された。これら遺伝子の上流にはGlutathione-s-transpheraseが存在することから、オキサリプラチン誘発性末梢神経障害抑制に関わるシンバスタチンの細胞内シグナルの下流にはGlutathione-s-transpherase とこれらが関与している可能性が考えられた。 さらに、オキサリプラチンを投与したマウスの血液・神経組織中の濃度、がん細胞株の生存率を評価したところ、オキサリプラチンの血中および神経組織中濃度はシンバスタチンを併用しても変化しなかった。同様に、オキサリプラチンによって誘発したヒト大腸がんおよび胃がん細胞株の細胞死はシンバスタチンを共処理しても抑制されなかった。 以上から、シンバスタチンによる抗がん剤誘発性末梢神経障害抑制メカニズムにおけるGlutathione-s-transpherase を介したシグナル伝達機構には細胞特異性が存在する可能性を明らかにした。
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[Presentation] Possibilities of statin in oxaliplatin-induced chronic peripheral neuropathy.2022
Author(s)
Fuka Aizawa, Ami Okabayashi, Daishi Moriyama, Yuhei Sonoda, Shimon Takahashi, Mitsuhiro Goda, Kenta Yagi, Takahiro Niimura, Yoshito Zamami, Yuki Izawa-Ishizawa, Keisuke Ishizawa.
Organizer
第96回日本薬理学会年会/第43回日本臨床薬理学学術総会
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