2022 Fiscal Year Annual Research Report
ラットを用いたオラパリブ誘発性貧血の機序と葉酸の関連性に関する研究
Project/Area Number |
22H04286
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
白石 ちひろ 三重大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オラパリブ / 貧血 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットからマウスに代用して、オラパリブ投与による貧血モデルマウスの作成を行った。マウスはC57BL及びSlc:ICR、溶媒はDMSO+HPβCD及びオリーブ油を用いた。経口、腹腔、及び静脈内投与後の血中濃度について、HPLCを用いて測定を行った。1、2、4週間投与による検討を行ったが、Hb値の低下は認められなかった。現在は、実臨床に合わせてカルボプラチン投与後にオラパリブの投与を行い検討を行っている。 2018年1月から2020年12月までに初めてオラパリブが投与された患者を対象とし、後方的調査研究も行った(附属病院倫理委員会H2021-184)。主要評価項目は、グレード3以上の貧血とした。対象患者40名のうち、18名がグレード3以上の貧血を発症した(発症日数中央値 66日)。そのうち、9名はRDW-SD値が高い大球性貧血であった(p=0.012)。オラパリブ投与後91日目には、ベースラインと比較してMCVの有意な増加が観察された(p=0.017)。卵巣がん患者におけるPARP阻害薬による葉酸及びビタミンB12の変動に関する後ろ向き観察研究」(附属病院倫理委員会H2021-219)についても実施したが、葉酸及びビタミンB12が顕著に低下した症例は認められなかった。 JADER及びFAERSを用いて、オラパリブの貧血発現に影響を及ぼす因子について調査を行った。JADER及びFAERSにおいて体重当たりの投与量≧12mg/kgは貧血発現と有意に関連していた[aROR;FAERS、4.483(3.009-6.680) p<0.001、JADER、1.628(1.039-2.551) p=0.034]。FAERSにおいて、女性、50kg未満、日本からの報告、ビタミンB12低下に関連する薬剤の併用、過去のプラチナ薬使用は貧血発現に関連していた。
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