2022 Fiscal Year Annual Research Report
PGE2の挙動に焦点を当てたICI使用後に確認される疼痛増強の機序解明
Project/Area Number |
22H04299
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
中尾 優子 大分大学, 医学部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント阻害薬 / 癌性疼痛 / プロスタグランジン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では 免疫チェックポイント阻害薬(ICI) 使用後の疼痛コントロールの悪化の確認とその機序解明を目的に、以下の2つの検討課題を実施した。 検討課題①:ICI の投与がオピオイドによる鎮痛効果に与える影響についての後方視的検討 当院において、2014年9月から2021年8月までにオピオイド製剤を服用中に化学療法が開始となった患者を対象に、治療開始前後におけるオピオイド製剤の1日あたりの投与変化量(モルヒネ換算)を調査した。対象患者をICI投与群および非投与群に分類し、年齢、性別、ブリックマン係数等を共変量とした傾向スコアマッチング(PSM)前後における投与変化量を統計学的に評価した。調査期間内において、PSM実施前ではICI投与群66例、非投与群85例の患者が抽出された。PSMを実施した結果、ICI投与群47例、非投与群47例の患者が抽出され、オピオイド製剤の投与変化量以外に有意な差は認められなかった。投与変化量はICI投与群25.0 mg、非投与群15.0 mgであり、ICI投与群において有意に大きかった(p = 0.045)。以上より、ICIの投与がオピオイド製剤による疼痛シグナル伝達系に影響を与え、疼痛悪化に寄与している可能性が示唆された。 検討課題②:ICI 投与後のプロスタグランジン(PG)類濃度変化の確認と疼痛悪化との関連性の解明 検討課題①の結果と過去の報告から、ICIによる疼痛悪化について、PGE2をはじめとしたPG類が関与している可能性を仮説とした。そこで、現在ヒト血中におけるPG類の網羅的な定量系確立を検討中である。
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