2022 Fiscal Year Annual Research Report
ワルファリン服用患者における胆道閉塞時のPT-INR延長と関連因子の検討
Project/Area Number |
22H04306
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中澤 孝文 千葉大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ワルファリン / 胆道閉塞 / PT-INR |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】ワルファリンの投与量を増量していない患者において、胆道閉塞時にプロトロンビン時間-国際標準比(PT-INR)の顕著な延長がしばしば観察された。胆道閉塞がPT-INR延長に寄与した可能性を考えたが、胆道閉塞とワルファリンの効果との関係を調査した報告は少ない。本研究ではワルファリン服用患者において胆道閉塞時のPT-INR変動に関連する因子を明らかにすることとした。 【研究方法】2005年4月から2021年3月において、千葉大学医学部附属病院肝胆膵外科にて胆道閉塞を有するワルファリン服用患者を後方視的に調査した。調査項目は胆道閉塞前と胆道閉塞時のワルファリン投与量と検査データとした。 【研究成果】対象患者は44人であり、胆道閉塞前と胆道閉塞時でワルファリン投与量に有意差はなかった。PT-INR(中央値)は、胆道閉塞前が1.59(IQR 1.38-1.95)、胆道閉塞時が2.27(IQR 1.60-3.49)であり、胆道閉塞時のPT-INRは有意に延長した(P < 0.001)。ΔPT-INRは、Δ総ビリルビン(ΔT-Bil)、Δ抱合型ビリルビン(ΔC-Bil)とそれぞれ強い相関を示した。さらに、PT-INRと検査値の関連性を評価するため、重回帰分析を行った。従属変数ΔPT-INRに対し、ΔT-BilとΔC-Bilがそれぞれ有意な変数となった。本研究より、ワルファリン服用患者において、ビリルビン値の変化(ΔT-Bil、ΔC-Bil)とΔPT-INRの関連性が示された。ワルファリン投与量が安定している患者であってもビリルビン値が著しく上昇する胆道閉塞を発症した場合、早期にPT-INRを測定することがより安全なワルファリンの投与につながると考える。
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