2022 Fiscal Year Annual Research Report
新型コロナウイルス感染症と抗菌薬の使用量や有害事象発生状況に関する探索的研究
Project/Area Number |
22H04307
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小門 諒平 大阪大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 抗菌薬 / 新型コロナウイルス感染症 / 有害事象 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行により、特に重症患者へ広域抗菌薬を使用するケースが多く見受けられる。本研究の目的は、大阪大学医学部附属病院において、COVID-19流行前後における抗菌薬使用量の変化と有害事象発生率を調査し、COVID-19の流行が細菌や真菌による感染症の治療に与える影響や、広域抗菌薬による有害事象発生率の推移を明らかにすることである。 【研究方法】 2018年1月~6月をCOVID-19「流行前」、2021年1月~6月を「流行期」と設定し、各期間での特定抗菌薬(カルバペネム系薬、ピペラシリン/タゾバクタム、抗MRSA薬)と抗真菌薬の使用量をAUD(Antimicrobial Use Density)とDOT(Days Of Therapy)で算出した。また、各期間での特定抗菌薬投与に関連した有害事象の有無と内訳を検証した。これらは、特定抗菌薬を48時間以上投与された一般病棟入室患者を対象とし、消化器症状、腎障害、皮膚障害等の10項目について検証した。 【研究成果】 各期間における特定抗菌薬使用量は、「流行前」に比べ「流行期」でAUDが1.5倍、DOTが1.4倍に、抗真菌薬の使用量はAUDが2.0倍、DOTが1.6倍に増加していた。また、2020年からのCOVID-19の各流行期間において、抗菌薬の使用量は概ね一定した値であったが、抗真菌薬は、重症者数が増加し医療提供体制が逼迫していた2021年1月~6月(第3波、第4波)で最も増加していた。一方、有害事象の発現率は、「流行前」17.1%、「流行期」18.1%と同程度の割合であった。以上より、特に抗真菌薬の使用量増加がCOVID-19重症者数の増加と相関している可能性が示唆された。また、抗菌薬適正使用推進にあたり、一定割合での有害事象発生の認識の必要性が改めて示された。
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