2022 Fiscal Year Annual Research Report
発熱性好中球減少症時の感染症鑑別と予後予測を可能にする新規バイオマーカーの探索
Project/Area Number |
22H04312
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
岩男 元志 大分大学, 医学部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 血液悪性腫瘍 / 発熱性好中球減少症 / MR-proADM |
Outline of Annual Research Achievements |
血液悪性腫瘍(Hematologic malignancy:HM)の治療では高頻度に骨髄抑制の副作用を伴う。特に発熱性好中球減少症(Febrile neutropenia:FN)では、その死亡リスクの高さから、広域スペクトルの抗菌薬による経験的治療が行われる。しかし、HM患者における発熱の原因は感染症以外にも様々であり、他の原因との鑑別がつかず、抗菌薬投与が長期間となることが多い。広域抗菌薬の不必要な長期使用は感染症治療の将来のために避けるべきである一方で、加療を躊躇し予後が悪化することは絶対に避ける必要がある。そのため、申請者はHM患者のFN時に発熱が感染症が原因であるかを鑑別でき、かつ予後を予測可能な有用なバイオマーカーとして、mid-regionalpro-adrenomedullin(MR-proADM)に着目し、その有用性を評価することを目的とし本研究を実施した。大分大学医学部附属病院にて、治療により好中球数が500/μL未満へ減少すると予測されたHM患者26症例、28エピソードを対象とし、全患者検体のリクルートを完了した。FN発症時点の年齢、身長、体重、CRP値およびWBC値の中央値[四分位範囲]はそれぞれ60.0 [52.5-64.0]歳、162.8 [155.2-168.6] cm、53.4 [42.1-58.0] kg、0.50 [0.23-1.27] mg/dLおよび0.61 [0.21-1.06] /μLであった。血漿中MR-proADM濃度、血漿中PCT濃度および血漿中プレセプシン濃度は全検体の測定を完了し、個別に推移をみると、FN初期にそれぞれが最も高い値となるのはMR-proADMでDay4、PCTでDay4、プレセプシンでDay3,4,6が最頻であった。今後はそれぞれのバイオマーカー濃度と培養陽性率および予後との関連性を解析する予定である。
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