2022 Fiscal Year Annual Research Report
大規模医療情報データベースを用いた化学療法に伴う末梢神経障害予防薬の探索
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22H04323
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
新田 綾香 徳島大学, 病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | データベース解析 / ドラッグリポジショニング / 抗がん剤誘発性末梢神経障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
レセプトデータ情報が集積されたJMDC Claims Databaseを用いて、オキサリプラチンまたはパクリタキセル投与が行われた症例を対象に、HGM-CoA還元酵素阻害剤の使用が抗がん剤治療後に生じた末梢神経障害の発現頻度・全生存期間へ及ぼす影響を検討した。 レセプトデータから、神経障害未発症と定義したoxaliplatin、paclitaxel処方症例を解析対象として抽出し、HMG-CoA還元酵素阻害剤の処方の有無によってNon-user群とUser群の2群に割り当てた。User群における抗がん剤治療開始後の末梢神経障害発現率に有意な増加は認められなかった。また、全生存期間はNon-user群およびUser群いずれも同程度であった。末梢神経障害の発現には性差がある可能性が指摘されており、がん種によって抗がん剤の投与量が異なるため、両評価項目について性別およびがん種毎の影響を解析したところ、paclitaxel処方歴がある女性において、User群における末梢神経障害発現率は増加した。また、膵がんの患者では、User群において末梢神経障害の発現率が増加した。 HMG-CoA還元酵素阻害剤はoxaliplatinおよびpaclitaxel使用患者における末梢神経障害発現抑制に寄与している可能性がある。HMG-CoA還元酵素阻害剤には脂質異常値を是正する以外にも多くの薬理作用を有することが知られており、新規抗がん剤誘発性末梢神経障害に対する支持療法薬として有用な開発標的となり得ることが示唆された。
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[Presentation] スタチンの pleiotropic effects: 抗がん剤誘発性末梢神経障害抑制作用の検討2022
Author(s)
相澤風花, 岡林亜美, 森山大嗣, 薗田悠平, 高橋志門, 新田綾香, 合田光寛, 八木健太, 新村貴博, 座間味義人, 石澤有紀, 石澤啓介
Organizer
次世代を担う若手のための創薬・医療薬理シンポジウム2022