2022 Fiscal Year Annual Research Report
がん悪液質関連ホルモンであるグレリンとペムブロリズマブ薬物動態の関係
Project/Area Number |
22H04328
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
清水 穂香 浜松医科大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん悪液質 / 血清中ペムブロリズマブ濃度 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害薬であるペムブロリズマブは近年尿路上皮がん以外にも適応が拡大してきている。 がん悪液質は病態の進行に伴ってタンパク質異化亢進などの代謝障害を背景に筋肉減少・体重減少を生じる症候群である。患者のQOLを低下させるのみならず、化学療法の効果が減弱し生存期間にまで影響を及ぼすことが見いだされ近年注目されている。また近年胃から分泌される内因性ペプチドホルモンであるグレリンも注目されており食欲促進作用を使用した薬剤も開発されている。グレリンは炎症抑制作用やタンパク質異化抑制作用も持っている。したがってグレリン濃度が高いと血清中ペムブロリズマブ濃度の異化反応が抑制され濃度が上昇するという関係があることが推測されるがこの点に関して検討した研究はこれまでにない。そこで本研究では血清中ペムブロリズマブ濃度とグレリン濃度の関係性を明らかにすることを目的とした。 まずグレリンとの関係性を見る前にがん悪液質に関与しているバイオマーカやサイトカインと血清中ペムブロリズマブ濃度との関係性をみた。炎症に関与しているマーカであるIL-6とCRPは血清中ペムブロリズマブ濃度と負の相関がみられ、栄養状態に関与しているマーカであるアルブミンは血清中ペムブロリズマブ濃度と正の相関がみられた。これらの結果よりがん悪液質が進行している患者では血清中ペムブロリズマブ濃度が低い傾向にあることが分かった。グレリン濃度と血清中ペムブロリズマブ濃度の関係性に関しては現在研究中であるため、今後も引き続き行っていく。
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