2022 Fiscal Year Annual Research Report
各種hemofilterに対する吸着性を考慮した広域抗菌薬の至適投与方法の確立
Project/Area Number |
22H04336
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
甲斐 真己都 大分大学, 医学部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 吸着 / 抗菌薬 / hemofilter |
Outline of Annual Research Achievements |
集中治療部(ICU)入室中の重症感染症患者に対しては、持続的腎代替療法(CRRT)が頻用される。CRRTに用いられるhemofilterには、一部の薬剤が吸着することが知られているが、CRRT施行時の薬剤の用量は、吸着性を考慮せずに設定されているのが現状である。そこで、本研究ではICUにおいて汎用抗菌薬を対象としたin vivoでの各種hemofilterに対する吸着率を算出し、至適投与量を決定することを目的とした。 ドリペネム(DRPM)およびシプロフロキサシン(CPFX)のin vivoにおける各種hemofilterへの吸着性を評価した。対象のhemofilterは、ATA膜、PES膜、PMMA膜およびAN69ST膜とした。対象患者は、DPRMを1.5g/日投与中の患者およびCPFXを800mg/日投与中の患者とした。DRPMの吸着率は、ATA膜: 1.88 [-5.31ー9.08] (%)、PES膜: 5.66 [0.88ー10.43] (%)、PMMA膜: 0.78 [-1.82ー3.39] (%)、AN69ST膜: 1.88 [-5.32ー9.08] (%)で、膜種間で差は認めなかった (p=0.696)。一方、CPFXの吸着率は、ATA膜: 0.06 [-9.95ー12.12] (%)、PES膜: 8.17[11.26ー34.92] (%)、PMMA膜: 10.89 [6.86ー16.24] (%)、AN69ST膜: 12.53 [-1.86ー14.74] (%)で、膜種間で差は認めなかったが、ATA膜で吸着率が低かった(p=0.871)。以上より、CRRT施行下においてDRPMを投与する際は、hemofilterに対する吸着性を考慮せずに投与量を設定可能と考えられるが、CPFXでは膜種の違いを考慮したうえで投与量を設定する必要がある可能性が示唆された。
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