2022 Fiscal Year Annual Research Report
血中トシリズマブ濃度の個人間差に対するIL-6受容体の遺伝子多型の関連性解析
Project/Area Number |
22H04339
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
望月 啓志 浜松医科大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トシリズマブ / インターロイキン-6受容体 / 遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
インターロイキン-6受容体(IL-6R)遺伝子の一塩基多型(SNPs)は可溶性IL-6R(sIL-6R)の血中濃度を変動させ、また抗IL-6Rモノクローナル抗体であるトシリズマブの関節リウマチ(RA)治療反応率を15%低下させる。申請者は、IL-6R遺伝子のSNPsに伴うsIL-6Rの血中濃度変動がトシリズマブの標的分子依存性消失に影響を及ぼした結果、治療反応率が変動していると仮説を立てた。本研究では、RA患者においてIL-6R遺伝子のSNPsにより血中トシリズマブ濃度が変化するか否かをsIL-6Rの血中濃度変動によるトシリズマブの消失機構への影響という点から評価した。 RAに対してトシリズマブを静脈内(5名)又は皮下投与(31名)された患者36名を対象とした。トシリズマブはLC-MS/MS法、sIL-6RはELISA法により定量した。トシリズマブの治療効果に関連するrs12083537、rs11265618について、TaqManプローブ法によりIL-6Rの遺伝子多型を評価した。トシリズマブとsIL-6Rの血中濃度の2群間比較はMann-Whitney U検定により評価した。 IL-6Rの遺伝子多型に関して、rs12083537においてA/A 27名、A/G 9名であり、rs11265618においてC/C 28名、C/T 8名であった。トシリズマブ及びsIL-6Rの血中濃度をSNPs毎に2群間比較を行ったが、有意差は得られなかった。 トシリズマブにより血中sIL-6R濃度は上昇することが知られているが、本研究においてもsIL-6Rは高濃度(中央値737ng/mL)を示した。IL-6R遺伝子のSNPsによるsIL-6R濃度の変動が消失したのはトシリズマブの投与が影響している可能性がある。 また本研究よりIL-6R遺伝子のSNPsは血中トシリズマブ濃度に影響しないことが示唆された。
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