2022 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺におけるヒトパピローマウイルス感染の局在と疫学および関連性についての検討
Project/Area Number |
22H04348
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
加藤 佑樹 金沢大学, 医学系, 協力研究員
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | HPV / 前立腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
【意義・目的】HPVは子宮頸がんの原因となるが,のみならず,精液からのHPV検出は不妊と関連していると多数報告されている.本研究は,HPV陽性前立腺癌患者の前立腺組織における高リスクHPVの存在を調査し,その局在を確認した.および,確認された前立腺内のHPVが前立腺癌への影響があるかどうかも調査した.【方法】前立腺癌に対してロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術を受けた日本人男性106 名の前立腺標本(パラフィン包理切片)を使用し,前立腺癌部および前立腺部尿道からDNAを抽出. ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびFlow-through hybridization法を用いて,HPV およびHPVサブタイプを同定した.さらにHPV陽性検体に対しては,その局在を評価するためにin situ hybridization(ISH)法を用いた.かつ,免疫染色によりp16INK4aの発現を調べHPV感染による癌の影響を調査した.【結果】HPV L1遺伝子は,前立腺部尿道10例(9.4%)と前立腺癌部2例(1.8%)で同定された.また,高リスクであるHPV52型が前立腺癌部2例の両方から確認された. 同様に高リスクであるHPV58型および31型はそれぞれ前立腺部尿道の2例(20%)で確認された.HPV サブタイプ 44,66も同定された.ISH法では,高リスクHPV -DNAは前立腺部尿道および前立腺癌部に局在していることが観察された. いずれの検体も免疫染色ではp16INK4a高発現は確認されなかった. 【結論】HPV-DNAは前立腺部尿道および前立腺癌部に局在していた.これらHPVが精液中のHPVであることが示唆された.また,高リスクHPV感染前立腺細胞はいずれもp16INK4aの高発現は確認されずHPVが癌化に関連しているとはいえなかった.
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