2022 Fiscal Year Annual Research Report
Chst14欠損マウスの骨表現型に関わる遺伝子の解明と患者検体での検証
Project/Area Number |
22H04350
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
高橋 有希 信州大学, 医学部, 研究支援推進員
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 筋拘縮型エーラス・ダンロス症候群 / Chst14 KO マウス / 骨病変 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋拘縮型エーラス・ダンロス症候群(mcEDS)では骨・関節病変が患者のQOL低下の最大の要因となるが、その発症機序や病態の進行を抑える方法は明らかでない。mcEDSではCHST14の病的変異により、コラーゲン細線維の会合に必須な酵素(D4ST1)の活性が消失する。申請者らは疾患モデル動物としてChst14欠損マウス(Chst14-/-)を用いた骨病変の解析を進めており、これまでに大腿骨の骨密度・強度低下や患者同様の進行性の脊椎変形を突き止めた。そこで本研究ではChst14-/-及び患者の骨病態に影響を与える遺伝子を明らかにすることを目的に、Chst14-/-の遺伝子発現解析を実施した。 12、52週齢マウスの大腿骨由来RNAから合成したcDNAを用いて骨芽細胞・骨細胞関連遺伝子(Bmp2、Alpl、Runx2、Osx、Bglap、Dmp1、Sost、Spp1、Tgf-β)、破骨細胞の分化・機能関連遺伝子(Rank、Rankl、Opg、Acp5、Ctsk)、コラーゲンやその会合に関わる遺伝子(Col1.α1、Col12.α1、Dcn、Bgn、Chst14、Chst11、Chst12)の定量PCR解析を行った。その結果、Chst14-/-で I型コラーゲン(Col1.α1)と骨形成因子(Bglap)の加齢に伴う有意な低下、骨吸収因子(Acp5)の加齢に伴う有意な増加が認められた。さらに破骨細胞成熟因子(Rank)が52週齢で野生型と比較しChst14-/-で有意な増加が認められた。 以上の結果からChst14-/-では加齢に伴い破骨細胞の形成が促進されて骨吸収が亢進することが示唆され、それにより骨病態が進行すると考えられた。また、患者検体は得られた検体が若齢患者由来であること、加齢に伴う発現変動の解析が困難であることから今後の検討課題とすることにした。
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Research Products
(2 results)