Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
肺高血圧症のモデルマウスである低酸素誘発性肺高血圧症 (HPH) マウスの系を用いて、肺高血圧症病態におけるIL-6ファミリーサイトカインの動態について検討した。肺において、IL-6のmRNAは低酸素負荷後48時間後にはベースラインの約10倍に発現が上昇したが、4週後にはほぼベースラインレベルに復した。IL-6以外のファミリーサイトカインのmRNAレベルは、低酸素負荷による変化はほぼみられなかった。CD4陽性T細胞におけるIL-6ファミリーサイトカイン受容体構成分子の発現も検討した結果、IL-6Raは定常状態でも低酸素負荷状態でも同様に高レベルに発現していた。
免疫内科学
肺動脈性肺高血圧症 (pulmonary arterial hypertension; PAH) は、予後不良の疾患であり、厚生労働省の指定難病となっている。現在使用可能な薬剤はいずれも血管平滑筋の収縮・弛緩を標的としたものであり、予後向上のためには分子病態に基づいた新たな治療法の開発が求められている。本研究の成果は、炎症性サイトカインを標的としたPAHの新規治療法の開発へ向けた基盤となると考えられる。