2022 Fiscal Year Annual Research Report
気道可逆性における変動幅の意義と臨床応用に関する検討
Project/Area Number |
22H04383
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 雅史 北海道大学, 大学病院, 主任臨床検査技師
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 気道可逆性 / 気管支喘息 / リモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
気管支喘息患者における気管支拡張薬吸入前後の気道可逆性(BDR)は、患者によって様々な値をとることが知られている。BDRの変動幅は新たなフェノタイプの弁別に役立つ可能性考え検討を開始した。その検討を進めるうえで我々は、2021年のOfficial ERS statementsによりBDRの定義が変更されたことに着目し、新旧定義によるBDR値へ影響する因子について検討を行った。 当院呼吸器内科で展開された北海道難治性喘息コホート研究に登録された気管支喘息患者181人を対象とし、気道可逆性の改善率を求めBDR値とした。新旧BDR値の比較を行い、さらにベースラインデータ(背景因子、重症度、末梢血好酸球数、pre%FEV1、CT上の気道・肺気腫指標)の新旧BDR値に対する関連を検討した。 新定義BDR値が3.8±0.3%と、旧定義BDR値4.9±0.5%よりも有意(P<0.0001)に低値を示した。新旧定義によりBDRの判定が異なった症例は5例であり、旧定義陽性者のうち4例が新定義で陰性、旧定義陰性者のうち1例が新定義で陽性となった。いずれもCut off値に近い値であり、このような境界症例のBDRを判断する際は注意が必要であると考えられた。旧定義BDR値の増加には、吸入前%FEV1低値、喫煙量が少ないこと、区域枝レベルの気道壁面積割合(%WA)の増加が有意に関連し、新定義BDR値の増加には%WAの増加が有意に関連した。さらに新定義BDRについて、喫煙の有無によりサブ解析を行った。非喫煙者では、%WAの増加と新定義BDR値の増加に弱い相関がみられ、気道フラクタル次元Airway fractal dimension(AFD)は関連が認められなかった。喫煙者では%WA、AFDに関連は認められなかった。このことから非喫煙喘息において、特に区域枝のリモデリングが影響する可能性が示唆された。
|
-
[Presentation] 気管支喘息患者における新旧基準による気管支拡張薬反応性に影響する因子の検討2023
Author(s)
山本 雅史, 清水 薫子, 木村 孔一, 牧田 比呂仁, 三谷 麻子, 中出 江美, 大沼 有美, 渡邊 千秋, 鈴木 雅, 後藤 秀樹, 豊嶋 崇徳, 西村 正治, 今野 哲
Organizer
第63回 日本呼吸器学会学術講演会