2022 Fiscal Year Annual Research Report
一側性難聴者の軟骨伝導補聴器による語音聴取改善に関する研究
Project/Area Number |
22H04395
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
永井 理紗 金沢大学, 附属病院, 言語聴覚士
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 軟骨伝導補聴器 / 一側性難聴 |
Outline of Annual Research Achievements |
当科では2020年度より軟骨伝導補聴器外来を開始し、従来の補聴器の装用が困難であった患者に対し、軟骨伝導補聴器の調整、装用指導などを行っている。 軟骨伝導補聴器とは、端子を耳介周辺に貼り付けて装用する補聴器であり、外耳、外耳道の形態を選ばず装用が可能となったものである。患者の多くは、一側性の伝音または混合性難聴であり、難聴耳側からの呼びかけや音に対してもある程度の対応はできていたが、装用することで難聴耳側からのことばの入りが非常によくなり、その効果を実感する例が多くみられるようになっている。 そこで本研究では、軟骨伝導補聴器を装用することにより、一側性難聴患者のことばの聴取がどの程度改善するものか、難聴耳側からの音提示によることばの聴取検査を装用下、非装用下とそれぞれ行い、両耳聴の利益を明らかにすることを目的とし調査を行った。 軟骨伝導補聴器装用者5名(外耳道癌手術後例が3名、両側外耳道狭窄例1名、先天性一側性外耳道閉鎖例1名)に対して検査を施行することができたが、今回の調査では装用下、非装用下での聴取成績はほぼ同等(いずれも100%に近い明瞭度)であり、顕著な改善は見られなかった。その原因としては検査室が静寂な環境であり、提示された語音は非装用下であっても良聴耳じゅうぶん聴き取れたことが考えられる。 成績としてはほぼ同等であったが、軟骨伝導補聴器装用者の満足度は高く(5名中4名が80%以上)、日常生活において様々な場面で両耳聴の効果が得られていることが示されている。今回の結果を踏まえ、雑音下、肉声による語音の提示での調査を検討中である。
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