2022 Fiscal Year Annual Research Report
ダイレクト法及び等温核酸増幅による体液特異的mRNAの迅速な検出
Project/Area Number |
22H04399
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Research Institution | 石川県警察科学捜査研究所 |
Principal Investigator |
久保 誠司 石川県警察科学捜査研究所, 公務員
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | RPA法 / ダイレクト法 / 体液識別 |
Outline of Annual Research Achievements |
犯罪現場に遺留される試料について、体液種の証明は犯罪の立証に重要である。mRNAは体液識別の有用なマーカーであるが、mRNA検出に一般的に使用されるRT-qPCR法は時間と手間がかかる。本研究では、等温増幅(42℃)かつ短時間(20分)で標的RNAを検出可能なRT-RPA法を利用し、血液の指標mRNA(Hemoglobin beta:HBB)の迅速・簡便な検出法の確立を目的とした。 研究代表者は既にHBBを指標としたRT-RPA法を報告しているが、検出感度の低さが課題であった。そこで、反応条件の改善による高感度化を目指した。反応条件を検討した結果、RNase Hの添加、逆転写酵素量の増加、攪拌工程の導入によって、HBBの検出時間が短くなり、RT-RPA反応の迅速化に成功した。この条件化で検出感度を検討した結果、100 fg相当の白血球RNAあるいは1 nL相当の血液からHBBを検出し、先行研究と比較して約200倍の高感度化を達成した。 RT-RPA法の阻害耐性を検討した結果、500 ng/μLのフミン酸、250 μMのヘマチン、4000 ng/μLのタンニン酸、125 ng/μLのメラニンが存在する場合もHBBを検出し、高い阻害耐性を示すことが確認された。さらに、簡易的なRNA抽出(TCEP/EDTA溶液で5分間加熱)によって、ダイレクトRT-RPA法の適用可能性を検討した。結果、ダイレクトRT-RPA法により血液試料から30分程度でHBBを検出することが可能であった。 同様に、精液の指標mRNA(Protamine 1:PRM1)についても予備検討を行い、ダイレクトRT-RPA法の適用可能性を示した。以上の結果から、RT-RPA法が体液特異的なmRNAの迅速・簡便なスクリーニング検査として有効であることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)