2022 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞移植に伴うステロイド投与が立ち上がりと階段昇降動作に及ぼす影響
Project/Area Number |
22H04422
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
西角 暢修 兵庫医科大学, 医学部, 理学療法士
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 造血幹細胞移植 / ステロイド / 立ち上がり動作 |
Outline of Annual Research Achievements |
造血幹細胞移植は,移植後の移植片対宿主病を予防するために大量のステロイドが投与されることでステロイドミオパチーを生じる可能性がある.そのためステロイドミオパチーにより立ち上がりや階段昇降動作が困難になる症例を経験する.本研究の目的は,造血幹細胞移植患者において造血幹細胞移植の前後での立ち上がりや階段昇降能力,筋力,骨格筋量の変化とステロイド投与量の関係を明らかにすることである. 対象者は造血幹細胞移植患者19名であった.移植前から生着後での各評価項目の変化については、30秒椅子立ち上がりテストが15.7から12.4回と有意に低下した(p < 0.05).30秒段差昇降回数は右が15.8から12.4回,左が16.4から12.9回と両側とも有意に低下した(p < 0.05).最大等尺性膝関節伸展筋力は右が32.8から27.5kgf,左が30.9から25.7kgfと両側とも有意に低下した(p < 0.05).握力は右27.4から24.8kg,左が26.4から23.8kgと両側とも有意に低下した(p < 0.01).四肢骨格筋指数は6.5から6.2と有意差に低下した(p < 0.05). ステロイド総累積投与量と各評価項目の変化との相関については,30秒椅子立ち上がりテスト(r = -0.793),右30秒段差昇降回数(r = -0.47),左30秒段差昇降回数(r = -0.633),右握力(r = -0.475),左握力(r = -0.578)と負の相関を認めた.ステロイド総累積投与量と最大等尺性膝関節伸展筋力や四肢骨格筋指数との相関は認めなかった. 以上のことから,造血幹細胞移植前後で立ち上がりや段差昇降能力,筋力,骨格筋量が有意に低下し,ステロイド総累積投与量が多い症例ほど,立ち上がりや段差昇降能力・握力が低下したことが明らかになった.
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