2022 Fiscal Year Annual Research Report
Search for Majorana neutrino mass with the world's best sensitivity
Project/Area Number |
22H04934
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 格 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 准教授 (10400227)
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Project Period (FY) |
2022-04-27 – 2027-03-31
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Keywords | ニュートリノ / 素粒子実験 / 実験核物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
キセノンを使った二重ベータ崩壊探索の高感度化のため、宇宙線ミューオン核破砕由来の不安定核に対する測定精度の改善、改良液体シンチレータの性能測定、シンチレーション撮像装置の開発を行った。ミューオン事象直後の中性子捕獲によって生成される137Xeが新たに測定され、長寿命核とともにシミュレーションによる予測と良く一致していることが確かめられた。また、長寿命核と強く相関する多重中性子に注目し、中性子に対する新しい位置再構成の手法を導入して位置分解能を高めた。キセノン含有液体シンチレータのバルーン容器に対する不純物に対応するため、波長変換材(Bis-MSB)を含む改良液体シンチレータの開発を進めている。作製したリニアアルキルベンゼン(LAB)ベースの液体シンチレータはクリーンルームにおいて液液抽出による純化を行い、プロトタイプ検出器への導入と14本の20インチ高量子効率PMTによる観測を開始した。改良液体シンチレータの発光性能評価、放射性不純物量の測定、さらに長期安定性の確認のための観測を継続している。撮像装置は画角(有効体積)ができるだけ広くとれるように、光学系の最適化を行った。長寿命核の放射性崩壊と粒子追跡、さらに光学系設計ツールを組み合わせた計算を行い、目標とする性能を達成できる光学系を得た。バックグラウンドの除去を効率的に行うためには光センサーにおいて1 mm程度の位置分解能が必要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
宇宙線ミューオン起源のバックグラウンドに対する理解が深まったことにより、必要な対策がより明確になった。長寿命核と強く相関する多重中性子は解析手法の見直しにより高効率で検出できるようになり、今後さらなる長寿命核タグ手法の最適化によるバックグラウンド削減が期待される。改良液体シンチレータを用いた観測は順調で、現在のところ性能に関する問題は生じていない。撮像装置は新しい光学系を採用することで、当初目標としていた性能が得られることが分かった。以上をふまえて、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
二重ベータ崩壊探索の高感度化に向けて、長寿命核タグ手法の改良と撮像装置に用いる新型光センサーの評価を行う。中性子に対する位置分解能の改善を最大限に活かすため、ミューオン飛跡と中性子位置をインプットとした機械学習、さらに精度改善に必要なPMT時間較正を行う。また、新型光センサーとLED点光源による測定を行い、長寿命核に由来するガンマ線事象を十分な効率で除去するために必要な位置分解能が得られることを確認する。
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Research Products
(19 results)