2022 Fiscal Year Annual Research Report
Flexible imaging systems integrated with power sources for high-precision measurement of biological signals
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22H04949
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
染谷 隆夫 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (90292755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 知之 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30723481)
福田 憲二郎 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (40613766)
李 成薫 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (80873132)
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Project Period (FY) |
2022-04-27 – 2027-03-31
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Keywords | イメージセンサ / 有機光検出器 / 低温ポリシリコン / 脈波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,上部電極にインジウム酸化亜鉛を用いた透明電極を低損傷のスパッタプロセスで成膜することにより,従来のイメージャと同等の暗電流と感度を有する上面受光の有機フォトダイオードを実現することに成功した.この有機フォトダイオードを,低温ポリシリコン薄膜トランジスタを用いたバックプレーン上に成膜することにより,上部受光型のフレキシブルイメージャを実現することに成功した.開発したイメージャは,解像度が108 dpi,センサ面積が30×40 mm2となっており,感度を10%程度向上させることにより,読み出し速度を56 fpsまで向上させることに成功した.さらに、光源をイメージャの周辺に集積化することにより,外部光源や光学レンズを用いずに静脈撮像が可能なシステムの実現に成功した.この開発したウェアラブル型イメージャを用いて撮像した静脈像の画像に,特異値分解を用いて解析することで,血流の可視化を行うことに成功した.今回の解析で用いた画像は18秒で1000枚撮像した静脈像である.この画像データを2次元の行列に変換し,その行列をもとに特異値分解を行った.すると,得られた画像は特異値ごとに異なる情報を含んでいることが分かった.例えば,特異値によっては,脈波の情報を含んでいるものであったり,体動ノイズを含んでいるものであったりすることがわかる.この中から,生体情報を含む特異値のみを用いて画像を再変換すると,S/N比を1桁以上向上させた画像を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画調書に記載した3課題すべてにおいて,当初想定を超える研究の進展があり,今後の研究活動を通じてさらなる発展が見込まれている. フレキシブルイメージャの超高感度化に関して,上部に透明電極を低損傷で成膜するプロセスの開発に成功し,感度を劇的に向上させることに成功した.特に,開発したフレキシブルイメージャを用いて,これまでには予想もしなかった3軸方向の圧力検知が可能な光学式圧力センサを実現することに成功し,高感度かつ多点で圧力を検知することに成功した. また、フレキシブルイメージャの信頼性向上に関して,太陽電池デバイスの水安定性や機械的安定性を改善する新構造を提案することに成功した.特に水安定性に関しては,当初想定していた安定性を大幅に上回る結果を新構造の提案によって実現された.さらに、フレキシブルイメージャのシステム化に関して,従来のイメージャの周辺にマイクロLEDを実装することで,光学系を用いずに静脈像が撮像可能なウェアラブル型イメージャの開発に成功した.特にシステム化に関しては,当初想定していた光源の集積化のみならず,フレキシブルなルーバーをイメージャ上に集積化することにより,レンズを用いずに生体内の信号を計測可能なシステムを実現するなど,想定以上の成果を上げることに成功した. さらに,位置ずれ補正のアルゴリズムとして,特異値分解を用いた解析手法の開発に成功した.この手法では,位置ずれ補正を行うのみならず,体動ノイズを除去することも可能であり,さらにこのノイズ成分から呼吸などのバイタルサインを検出することができることがわかってきており,想定以上の成果が実現された.さらに,特異値分解を用いた画像解析手法をより発展させた新手法の開発にも取り組んでおり,静脈の3次元可視化や血管の太さの推定,血流速度の推定といった,これまでに観察が難しかった情報を可視化することに成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で,世界初となる上面受光型構造の有機光検出器を多結晶低温ポリシリコン(LTPS)上に実現することに成功した.透明電極の低損傷プロセスを確立し,有機半導体層の上面を透明電極にすることで,LTPSトランジスタや配線に関係なく,有機光検出器の受光側をデザインすることが可能になった.今後は,貼り付け型電極を用いた有機受光素子の製造技術を確立し,さらに,ダメージなく除去できる特徴をいかし,様々な要因によって変化するデバイス特性と有機半導体層の変動機構を明らかにする.また有機受光素子間のクロストークと暗電流の低減手法を確立し,高コントラスト比を実現する. また、生体シグナル測定の再現性向上に向けて,着け心地を損なわずにセンサが位置ずれしないジャストフィットの装着法を実現する.そのために,曲げへの耐性などイメージャの機械的耐久性を向上する.次に,汗などに対するイメージャの環境安定性を向上するための研究を進める.今後は,さらなら環境安定性の改善に向け,正孔輸送層と電子輸送層の両面における検討を加える.また、無機膜と有機膜の多層膜で構成されるフレキシブル封止膜を有機光検出器に適用することで,曲げへの耐性などの機械的耐久性と汗などに対する環境安定性を両立する. イメージャのさらなるシステム化に向け,イメージャと光源と電源の集積化を推進する.電力供給のために,有機太陽電池とスーパーキャパシタを集積化した高性能なフレキシブル電源を実現し,さらに,フレキシブルイメージャ,フレキシブル電源,フレキシブル有機ELによる光源をすべて集積化してイメージングシステムを構築する.次に,システム化されたデバイスから取得されたデータについて,位置ずれ補正のアルゴリズムを導入する.これによって,ベストの装着法でも除去できないモーションアーティファクトの影響を低減して,活動中の計測精度を向上する.
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[Journal Article] Surface-Energy-Mediated Interfacial Adhesion for Mechanically Robust Ultraflexible Organic Photovoltaics2023
Author(s)
Baocai Du, Kenjiro Fukuda, Tomoyuki Yokota, Daishi Inoue, Daisuke Hashizume, Sixing Xiong, Shinyoung Lee, Masahito Takakuwa, Lulu Sun, Jiachen Wang, and Takao Someya
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Journal Title
ACS Applied Materials & Interfaces
Volume: 15
Pages: 14624~14633
DOI
Peer Reviewed
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