2022 Fiscal Year Annual Research Report
Human tracing based on spatio-temporal fluctuation of odor
Project/Area Number |
22H04952
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林 健司 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (50202263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 幸二 九州大学, 工学研究院, 准教授 (10180324)
冨浦 洋一 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (10217523)
興 雄司 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (10243908)
佐々 文洋 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (30722681)
石田 寛 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80293041)
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Project Period (FY) |
2022-04-27 – 2027-03-31
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Keywords | 匂いセンサ / センサロボット / プラズモニックガスセンサ / 人探索 / ハイパースペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
匂いの時空間ゆらぎ情報を可視化し、ロボットによる人探索を実現する本研究を構成する3レイヤ(opto-chemicalプローブ、2次元ガスセンサ作製とハイパースペクトルイメージング、ガス源探索)について次の成果を得た。1) センサ基板の作製技術としてスパッタによるAu/Agコアシェルナノ粒子、色素(ローダミン6G)修飾、Au/Agコロイド溶液インク調整とフレキシブル基板へのインクジェット印刷技術を開発し、LSPR(局在プラズモン共鳴)ガスセンサとして機能する2次元センサの作製に成功した。また、Au/Ag組成調整と色素カップリングによりガス応答を変調できることを確認し、ハイパースペクトルイメージングによりガス情報を取得できた。2)ハイパースペクトルカメラおよびマルチスペクトルビデオカメラにより匂いの流れとガス源から拡散する匂いの時空間分布の可視化に成功した。超高感度SERS(表面増強ラマン散乱)ガスセンサについても、デバイス作製とガス検知技術、アレイ化によるガスの分布計測を表面レーザースキャンにより可能とした。また、高速ハイパースペクトルイメージングを実現する基礎技術として、偏光角変調素子を実現する磁気光学効果素子の開発とMEMS構造を持つハイパースペクトルカメラとの比較を進めた。3)匂い識別では16種類のガス源から揮発するガスを2次元プラズモニックガスセンサで可視化計測し、そのハイパースペクトル画像情報によってガス種ごとの空間的な拡がりの識別に成功した。さらに、ガスの流れや拡散を組成情報へ変換する解析技術の基礎特性を調査した。センサロボットについては4輪走行型でrobot OSで制御可能なプラットフォームを構築した。また、ガスの時空間変化情報を用い、粒子フィルタ技術を用いた匂い源推定のためのロボット制御技術開発を進め、シミュレーションによって探索制御が可能なことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ガス分子認識機能材料、opto-chemicalプローブ、プラズモニック特性を維持したインクジェット用インク、フレキシブル基板への印刷とプラズモニックガスセンサの特性確認、2次元プラズモニックガスセンサによるガス時空間分布の可視化、高速ハイパースペクトルイメージングデバイスの基礎研究、ハイパースペクトル情報として記録されたガス分布の解析、ロボットプラットフォームの構築と匂い源探索制御について研究開発を行い、いずれも順調に進捗している。高速ハイパースペクトルイメージングの基礎研究については分光デバイスの基礎検討に時間を要し、研究費の繰越申請を行うことで計測系のベンチマークとなるMEMS型ハイパースペクトルカメラ(購入備品)との組み合わせで、2次元プラズモニックガスセンサと組み合わせた匂いの時空間ゆらぎ情報の計測技術の開発を行うことで対応することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
opto-chemicalプローブの開発においては、金属ナノ粒子の組成、カップリングさせる色素、さらに酸化チタンなどの機能性材料の組み合わせによってガス情報を増やすことができる材料開発を行う。これらの材料をLSPRガスセンサとして2次元プラズモニックガスセンサとしてデバイス化する。超高感度SERSガスセンサでは、効率的な表面ラマン増強が生じるナノギャップを持つ銀ナノ粒子集積技術を開発し、得られるラマンスペクトルから構成ガス分子情報へ分解する技術を開発する。また、2次元分布を計測し、ガス分布を推定する解析技術を開発する。ガス分子認識材料については、ガス分子のホスト材料の開発とカップリングさせるカーボンドット等の光機能性ナノ粒子材料について研究開発を進める。2次元プラズモニックセンサについては初年度に行ったスパッタ、インクジェットに加え、金属コロイドの単層構造作製技術を導入する。プラズモニックガスセンサを作製するインクジェット用インクでは組成調整によりガス応答の変調を進め、ガス分子識別能について検討する。センサロボット開発では、プラズモニックガスセンサを組み込んだセンサユニットを開発し、さらに複数のガスセンサなどを組み込んだマルチモーダルなガス検知を実現する。流れ計測とロボット制御では、センサユニットから得られる情報を想定し、シミュレーションによる確認を押し進める。ガス種の識別、構成ガス分子情報の解析では検討しているNMF(非負値行列分解)とICA(独立成分分析)を用いた解析と、ガス種の同定を機械学習により行う。
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