2022 Fiscal Year Annual Research Report
Quantitative analysis of solidification phenomena using unstructured data obtained by time-resolved tomography
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22H04963
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安田 秀幸 京都大学, 工学研究科, 教授 (60239762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 浩平 九州大学, 工学研究院, 准教授 (00511875)
勝部 涼司 京都大学, 工学研究科, 助教 (10839947)
鳴海 大翔 京都大学, 工学研究科, 助教 (20827448)
高木 知弘 京都工芸繊維大学, 機械工学系, 教授 (50294260)
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Project Period (FY) |
2022-04-27 – 2027-03-31
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Keywords | 凝固 / X線イメージング / 時間分解観察 / フェーズフィールド / トモグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、金属材料などの凝固組織形成をありのまま記録したデータ(非構造化データ)を得られるように、時間分解トモグラフィー(4D-CT)とX線回折測定(XRD)を統合した手法、ならびにフェーズフィールドモデル(PFM)を用いた画像処理・再構成手法の開発を行った。さらに、鉄鋼材料などの凝固・相変態における組織形成ダイナミクスの実証的理解と制御指針の確立、固液共存域の変形ダイナミクスの実証的理解と物理モデルへの展開を目指して非構造化データに基づいた解析を行った。 研究課題に共通する実験・計算手法の開発・改良(項目A)では、独自に設計・組立を行ったXRD検出器により4D-CTとXRDの同時撮影が実現し、組織と結晶方位の時間発展を観察・測定できるようになった。また、高速化に向けてビームライン・光源の特徴を把握して次年度以降の課題抽出も行った。PFMを用いた逐次型画像処理・再構成(逐次型PFF)では、画像処理効率・精度が向上し、1億ボクセル以上の再構成像についても再構成が可能になり、項目Bで利用できる段階になった。 凝固組織形成の学理構築(項目B)では、Al合金に加えてBCCおよびFCC構造の3d遷移金属合金、HCP構造のMg、Znについてデンドライトの優先成長方向などの測定を行った。HCP構造の優先成長方向について、予想された優先成長方向と一致しないその場観察の結果が得られ、より詳細な解析を継続している。鉄鋼材料の凝固およびBCC-FCC変態にともなう組織形成では、核生成律速によるBCC/FCCの選択、BCC-FCC変態後の結晶粒粗大化に関する定量的なデータを得た。また、固液共存体の変形では、数千個から数万個の固相粒を含んだ試料の変形について定量的な変形解析を行う手法を開発して、バルク固液共存体の変形の特徴を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題に共通する手法開発(項目A)、凝固組織形成の学理(項目B)に分けて報告する。 項目Aでは、4D-CT撮影と同時計測が可能な高精度・高速XRD検出器を試作し、時間分解3DXRD計測・制御ユニットとして稼働させ、課題申請時の目標であった統合型4D-CTの基盤を確立できた。SPring-8のビームライン・光源(モノクロメータ、多層膜分光器)の特徴を具体的に把握して、高温・高真空仕様高時間分解CT用回転機構の仕様を決定することができ、高速化にむけた試行も実施できた。PFMを用いた逐次型画像処理・再構成(逐次型PFF)では、再構成の有効性・妥当性を定量的に検証することができた。さらに、逐次型PFFの発展により 1億ボクセル以上のデンドライト組織も再現でき、組織の定量解析に利用した。PFMを用いた時間発展型再構成でもその場観察とフェーズフィールドのデータ同化における課題を抽出できた。 項目Bでは、4D-CT/XRDによる六方晶系のデンドライトの解析も行った。六方晶系では想定と違い、デンドライトの成長方位が合金系に依存する結果も得られた。観察結果は、優先成長方向に関する新たな知見になるだけでなく、組織形成や結晶粒選択にも影響する可能性があり、解析を継続している。鉄鋼材料の凝固およびBCC-FCC変態での組織形成においても、統合型4D-CTを利用して核生成律速の相選択、BCC-FCC変態における結晶方位関係、FCC粒の粗大化などの新たな知見を得ることができた。また、固液共存体の変形では、変形過程における応力測定も実現し、千個から数万個の固相粒を含んだ試料の変形について定量的な解析が可能になった。鋳造欠陥に関係する変形の局在化に至る過程など基礎・応用の両面で興味深い結果が得られた。 以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度はおおむね順調に進展していると判断しているので、課題申請時の研究計画に従って、研究を推進する予定である。具体的な項目は以下の通りである。 項目Aでは、昨年度に実現した統合型CT観察技術により、従来の観察に比べて高空間・高時間分解能のXRD測定が実現している。この特長を活かした方位解析、方位分布測定、3DXRDを実現する。高空間分解能CT用高速回転機構を導入して観察の高速化を行う。また、実験と計算が融合した時間発展型再構成の試行を行い、実験・計算の両面から具体的な課題抽出とその解決法を明らかにする予定である。 項目Bでは、2022年度の成果を発展させるため、Al、Fe、Mg、Ti、Zn合金など多様なデンドライトの優先成長方向の特徴を明らかにする。特に、複雑な優先成長方位が観察されたHCP構造のデンドライト成長に注目して系統的な知見を得るようにする。Fe系合金における凝固と連成したBCC-FCC変態に伴うガンマ相の粗大化機構の解明を目指して、試料体積の影響、ガンマ粒の粗大化の初期過程、粗大化過程におけるガンマ粒間の選択などを明らかにする。また、Ti合金においても凝固と連成した相変態を観察して、Fe系で観察された凝固・相変態による組織形成の一般性についても検討する。4D-CTの特長である固液界面積、曲率などの定量的測定に基づいて、従来の凝固モデルでは考慮されていないゆらぎなども含めて凝固組織・欠陥の形成機構の解明に展開して学理構築を目指す。固液共存体のミクロ・マクロダイナミクスでは数千個以上の固相粒を含んだ固液共存域の変形の観察データに基づいて固液共存域に特有の変形機構、鋳造欠陥形成との関わりを明らかにする。 また、項目Cとした非構造化3Dデータの共有化に向けて、観察手法(シーズ)と共有化による新たな解析(ニーズ)について整理する。
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Research Products
(42 results)